テニスのエース様
□バレンタインデー
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一通り次の練習内容を話し合いながら、ノリで一緒に下校。
これはもしかしなくてもチャンスなのでは!?
ここでいかなきゃ、女が廃る。
私はゴクリと唾を飲み込んで、カバンに手を入れる。
「あのね、手塚君」
震える唇で何とか言葉を紡ぐ。
「これ、受け取ってもらえるかな」
手塚君が私の手にあるものをゆっくりと受け取る。
「…もしかしなくても俺に」
私は黙ってコクコクと頷く。
「…そうか。ありがとう」
「う、うん」
赤くなった顔を手で隠しながら家に向かって歩き続ける。
「実はひそかに期待していたんだ」
「え…」
「藤原からもらえるんじゃないか、と」
「え…」
手塚君はそれだけ言うと私に顔を背けたまま、「今のは忘れてくれ」と小声で呟いた。