(ff8 )ファンタジーなお星様

□サイファーと塔の上の女の子〜出会い編〜
7ページ/8ページ

第7話「君に名を呼ばれることで始めて私は『私』という存在でいられる。」



「では、この書類にサインをしてください」
「……シド学園長、お恥ずかしながら、私には名前が無いのです。ですので……」
「あぁ、そうでしたか。では貴女の好きな名前を名乗りなさい。苗字は…私の‘クレイマー’を使いなさい。教職員には私の養子、という事で話しますので」
「ありがとうございます。あとは、名前ね…」
名前はどうしようと思った時、ふと、思いついたものがあった。
「…リーリア…。リーリアにします!幼い頃読んだ物語の登場人物の名前で、とっても好きだったのです」
「いい名前ですね。リーリア、これで貴女は今日からここの生徒で、私の娘です。よろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしくお願いいたします」
お互いあいさつをした所で、サイファーがいい加減飽きた、という顔で、
「もう終わったんだろ、早く行こうぜ」
と催促してきた。
私は、基本事項はサイファーに聞くと伝えて、シド学園長にお辞儀をしてサイファーと共に一階へ向かった。
「…リーリア…俺もいい名前だと思う。これからもよろしくな」
トクンっ と胸が跳ねた。
「ええ、こちらこそよろしくね。…名前を呼ばれるのってなんだか恥ずかしいわね」
私がそういうと、サイファーは微笑んで
「…フッ、そのうち慣れるだろうよ」と言った。

________でも、きっと、貴方に呼ばれるのが恥ずかしいだけ
________何故かはわからないけどそんな確信があった
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ