(ff8 )ファンタジーなお星様

□サイファーと塔の上の女の子〜出会い編〜
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第5話「この想いは伝えられない」

少しの沈黙の時間が流れた。
「……さっきこの塔に入るときに聞いちまったんだよ…。お前、あの侍女に生贄として、明後日には殺されるぞ」
彼の言葉に衝撃を受けた。侍女が?私を?
「まって、、どういう事?私は…」
「だから、俺と行くぞ。ああいう言い方はしたが、その話を聞いた時、お前を連れ出そうと思った。…だから、お願いだ。俺に連れ攫われろ」
そう言われたとき、また胸が高鳴った。
初めて出会った時と同じように…
私の答えは本当は既に決まっていたのかもしれない。
「…えぇ、わかったわ。でも、連れ攫われるのではなく、これは私の意思よ」
そう言った瞬間、サイファーは飛び起き、私の肩を掴んで ほんとうか? といった。
なんだか、小さな少年のようだと思った。
「ふふっ、もちろんよ!大冒険、一度はやってみたかったの!動きやすい服と武器、準備するから待っていて!」
「…お前、武器なんて持ってんのか?」
「…?…えぇ、東洋の武器で刀というの!本当は部屋の装飾品なのだけれど、武器としても使えるのよ!」
「ククっ、おっかねぇ女」
「おっかないとは失礼ね!あ!あと私、魔法も使えるわ!」
準備が終わり、私たちは順調に塔を降りていた
塔に蔓延るモンスター達を倒しながら、私は魔法を使った
サイファーは驚いた顔をしてこちらを見た
「凄いでしょう!私も伊達ではないのよ!」
「…お前、これはもう使うな」
「…どうして?」
「……これは、魔女の力だ。魔女は世界から嫌われている。バレたらどんな目に遭うかわからない。だから、もう使うな」
私は、サイファーの剣幕に負けて、小さく頷いた。
「…ん。それでいい。キツく言って悪かったな」
そう言ってサイファーは微笑み、頭を撫でてくれた。
「……いいえ、大丈夫よ」

_________私が魔女で嫌われ者なら、貴方にも嫌われてしまうの?
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