(ff8 )ファンタジーなお星様

□サイファーと塔の上の女の子〜出会い編〜
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第3話「君だけが私を一人の人間として認めてくれた。」

ガチャ
「昼食にございます」
「あぁ、ありがとう。そこに置いておいてもらえるかしら」
「先程、お声が聞こえたのですが、何かございましたか?」
「…いいえ、つまらないから本を音読していただけよ。用が済んだのなら出て行ってもらえる?」
「それは失礼いたしました。どうぞ、ごゆっくりお過ごしください」
「…ゆっくりも何もないわ……」
侍女の背中を見つめてそう呟いた。
「…ふぅ。もう出てきてもよろしくてよ」
ガチャ
クローゼットが開き、彼が出てきた。
「…今のは?」
「小さい頃から仕えている侍女よ。名前は教えてくれなかったわ。私のお目付け役なのよ」
ふーん、と言って、持ってきた料理を見た
「食べてもいいわよ。いつも残すし、こんなにいらないもの」
「いや、いらねぇ。お前、いつもこんなの食べてんのか?」
「そうね、半分以上残すけど」
「ふーん。……なぁ、お前もう一回歌えよ」
びっくりして彼を見た
「…どうして?」
私がそう問うと、彼は恥ずかしそうに視線をずらした。
「気になったから。入って最初に聞こえたのは、お前の歌だった。俺は気になってここまできたんだよ」そして、ソファに座った。
嬉しかった。
侍女は興味がないのか何も反応しなかったし、何より、侍女以外の人間に会ったことが無かったのだ。
私はただ、そこに‘在る’だけのモノだった。
けど、今は違う。この人が私を、私の歌をみてくれた。
「ええ!喜んで!」

___________私の歌を聴きながら、彼はソファで眠りについた__________
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