約束 (長編)

□訓練
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「そういえば、書庫で面白い本を見つけたんだよ」
一息入れようというハンジの提案で、2人はお茶を飲んでいた。
「面白い本ですか?」
「かなり古い本でたまにページが破れてたり文字もところどころかすんでて読みにくいんだけどね、東洋人の国について書かれているんだ」
「えっ?!それじゃ…」
「そう!読み進めていくうちに気づいたんだけど、この本に書かれてる国って名無しさんのいた世界の…ヒノモ…ト?のことなんじゃないのかなって思って!」
目をキラキラさせながらハンジはその本を名無しさんの目の前に持ってくると興奮気味に話しだした。
「以前名無しさんさ、元々いたところでは剣のことをカタナって言ってたって言ったじゃない?」
「ええ」
「ほら、ここに"カタナ"って書いてあるんだ」
ハンジが指差して教えてくれた箇所は文字がきれぎれになってはいるが、それでも判読できる状態だった。
「この"カタナ"は、主に"ブ…シ"っていう男性が使用していたってあるね」
「ぶし?」
「うん。やっぱり剣みたいに腰にさしてたっぽいね。でも女性の"ブシ"はどうもいなかったみたいなんだよ」
「えっ?じゃあ…なんで私…?」
ー男の人に混ざっていたんだろう?
「名無しさん?」
「あ、いえ…他に何か書いてあったんですか?」
「あ、そうそう。なんか面白い集団がいたらしいことはわかったよ」
「面白い集団?」
「うん!私が思うに…もしかしたら名無しさんはその集団に縁のある人かも」
ーなんだろう?
ドキドキしながらハンジの答えを待つ。
「"ニンジャ"って言う集団なんだ!えっと"シ…ノ…ビ…"とも言うのかな」
「しのび?」
「そう。自分が仕える人を守ったり、その身に危険が及ばないように未然に防いだりしてた人たちのこと…?なのかな」
「高貴な方をお守りする人たちだったんですね」
「うん。前に名無しさん言ってたでしょ?身分の高い人を守る家系だったって。」
「ええ」
「まだザッとしか目を通してないんだけど、かなり戦闘能力も高かったみたいだし、それにね!高い屋根にジャンプしたり、特殊な武器を使ったり…水の上を歩いたりとか!すごくない?!」
「水の上を…?! さすがにそれは…」
「しかもね、このシノビの中には女性もいたみたいなんだ」
「…女性も?」
「うん。まだシノビについてはさわりだけで詳しく読んでないんだけど、きっと名無しさんに関係してきそうな気がするよ!」
詳しいことがわかったらまた教えるね!とハンジに言われて、名無しさんは曖昧に頷いた。
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