約束 (長編)
□目覚め
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「あっ!気が付いたんだね!」
ハンジと呼ばれた眼鏡をかけた女の人からそう声をかけられたので、頷いた。
「びっくりしたよー!
空が光ったと思ったら流星みたいに落ちてくるからさー!
でもよくリヴァイ気付いたねー!」
一息にまくしたてられて名無しさんが唖然としていると横からチッと舌打ちが聞こえた。
「いきなりうるせーよ眼鏡」
「ふぅーん…東洋人?
初めて見た!!
しかも…滅多にお目にかかれない美人さんじゃん!
あ!だからリヴァイ急いで拾いに行ったの?」
「うるせークソ眼鏡!
見た通り起きたからさっさとエルヴィン呼びにいきやがれ」
「なんだよー!もう少し見させてよ!」
ギャンギャン喚いているハンジを蹴り出してエルヴィンを呼びに行かせると室内にはまた静けさが戻った。
リヴァイは、改めて目覚めた女を観察する。
絹のような長い黒髪は肩から緩やかに落ち、切れ長の目元は不安そうに揺れている。ランプの光を映し出す瞳の色も黒だ。黒髪と瞳の色が余計に肌の白さを際立たせていた。ほっそりとした顎のラインと鎖骨が見える首元がこの女の華奢な様を際立たせているようにも見える。
鎖骨のところから着衣の合わせ目があり、太い布で体を締めているようだ。
…見たことねえ洋服だな…
寝かせる前に武器の類を持っているか確認のため、着衣を脱がせようとしたが、どうにも仕組みがわからず体の上から触って確かめたことを思い出した。
その時、こちらを向いた名無しさんと目が合った。
胸の膨らみの感触がまだ手に残っているようで、少しバツが悪い。
「取り敢えずあともう1人来る。
詳しいことはそれからだ。」
「はい…」
気まずさを隠すように言ったリヴァイの言葉に名無しさんは頷いた。