約束 (長編)

□相思
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あれから、とりあえず名無しさんを普段の仕事に戻して、3人は団長室に集まった。

「エルヴィン、本気か?」
「…リヴァイ。君も見ただろう?
ハンジの手から剣を弾き飛ばした時の動き…私はああいう剣裁きは初めて見たよ」
「確かに尋常な速さじゃなかったね」
「ハンジ、右手は大丈夫か?」

エルヴィンがハンジの手の具合を聞いた。

「もう大丈夫みたい。
にしても…普通は鞘から出して構えて斬りかかってくるもんだと思ってたけど」
「……ああ。鞘から剣を抜きながら斬ってきたな…」
「ああいう技があるとはね〜!
書庫に東洋のことについて書かれて いるのがあるか見てみるね」
「今日の立体機動と剣の腕前を見てもまだ不満そうだな?リヴァイ」

腕組みしたまま壁に寄りかかっているリヴァイを見てエルヴィンは言った。

「昨日まで食堂で働いていて、しかも記憶がまだ全部戻ってねえ。
そんなやつを腕が立ちそうだからってだけで調査兵団に入れてみろ。
正規の訓練を受けてきた他のやつらがどう思う?」
「自分の経験から言っているのか?」
「……」
「まぁ…リヴァイと違って協調性の面では名無しさんは問題ないと思うけどね」
「クソ眼鏡…蹴られてえのか」
「でもリヴァイのその意見は私もわかるな。名無しさんの外見ではとても剣を使いこなしている人には見えないし」

「入団を彼女が了解してくれるならみんなに紹介する時に立体機動と剣の腕前を披露させてみようと思うが」
「巨人のうなじの削ぎ方も訓練しなきゃだしね」
「お前ら気が早えよ。
まだ本人の返事も聞いてねえだろ?」

それだけ言うと話は終わりだとばかりにリヴァイは団長室を後にした。


「あの感じじゃあ…リヴァイ納得させる方が難しいんじゃない?」
「…おそらく巨人と戦わせたくないんだろう」
「それだけ名無しさんのこと…好きになっちゃったんだね〜」
「…リヴァイが持っていかれるとは思わなかったがな…」

ーいや…初めからあの男にしてはおかしかったか…

エルヴィンとハンジが話していると
ートントン。
「団長、オレだ」
「あれっ?ミケ!どうしたの?」
「なんだ。ハンジまだいたのか。
リヴァイが出て行ったみたいだったから、もう話は終わったんだと思ってな」
「実はミケにも見てもらっていたんだ。それで、どうだった?」
「大歓迎だ。すぐにでも入ってもらいたいくらいだよ」
「ミケのお眼鏡にも叶ったんだね!
あとはリヴァイかー。でも、とりあえずは名無しさんの答えを聞かないとだね」
じゃ、私も戻るから。と言って部屋から出ていこうとしたハンジだったが、
「あ、そうだ、ミケ。名無しさんの匂いだけは間近で嗅がない方がいいよ」
「?なんでだ?」
リヴァイに殺されちゃうかもね〜と手をヒラヒラさせながらハンジも自室に戻って行った。
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