本編

□[0] 序章
1ページ/1ページ

“ピピピ”といつもの目覚まし時計が鳴る。凛華は朝の怠さと共に目を覚ます。時間は午前七時。
適当に朝御飯を済ませ身支度をして外に出る。

凛華は大学1年生。友達もそこそこ居るが性にあわない人とは自分から離れる性格だ。そんな凛華が唯一心を許して自分を曝け出せる場所があった。

【おはようございますm(_ _)m 今日は寒いなぁ…】こういった呟きをするのが毎日の日課になっていた。
某呟きサイト“Twitter”である。
早速反応が来る。
【おはよう】
シンプルに返してくるフォロワーさんの一人“ショウ”だ。
凛華はこの“ショウ”と話すのが何よりも好きだった。

登校時,授業中,休憩時間……
合間を縫ってはTwitterでショウと話していた。
内容は他愛もない。

@ショウ【今何してるの?】
@凛華 【今は授業中だよ〜(笑)】
@ショウ【お疲れ様】
@凛華 【有難う〜】

こういった何気無い会話ができるのは恐らくショウだけだろう。

後日,凛華はツイキャスというものを配信した。
そこへコラボしてきた二人の知らない人。
その二人は凛華を差し置いて二人で話している。
リスナーとして来ていたショウは,その態度の悪さ,マナーの悪さに堪忍袋の緒が切れコラボを求めた。
凛華は許可をした。
ショウがマナーの悪い二人に対して説教をするも止める気配は無い。
凛華はミュートしツイキャスの配信を終わらせた。

マナーの悪いコラボしてきた二人を介して凛華は初めてツイキャスの怖さを知った。

@ショウ【大丈夫?】

凛華を心配して話し掛けてくれる。
凛華は泣いてしまった。ショウの前で初めて。
そして気持ち改め暫くショウともう一人のフォロワーだけにツイキャスを配信する事を決めた。

凛華の為に態々コラボし説教までしてくれたショウ。
そんな事をしてくれる人には今までに出逢ったことは無かった。

(優しいな……)

単純にそう思っていた。
親切な人だと。
そして,その思いは“想い”へと変わる前触れでもあった。

次の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ