白い怪盗(まじ快中編)

□2.ブルーバースディ
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今宵も日本警察を翻弄する怪盗がいた

その名は怪盗キッド…











「まぁーたく、毎度毎度ダミーに引っ掛かっちゃって…
懲りないね、あの人も」

人目に付かない場所でキッドはそう呟いた

「これで今月5件目か…
明日はいよいよ大物だな」

怪盗キッド改め、黒羽快斗はそう呟いた

「よぉし、頑張るぞ」

「何が"頑張るぞ"よ!!
毎回ヒヤヒヤしてる私を放っておいて!!」

快斗が呑気に意気込んでいると、そこに心葉もやってきた

「なんだよ、心配して迎えに来たのか?」

快斗がそんな妹を見てそう言うと、心葉はそんな兄の顔をつねった

「今月5件目でしょ?!
5件とも中森警部からお誘い頂いたけど、全部お兄ちゃんの為に断ったんだからね?!」

「痛いからやめてくれ、心葉…」

兄がそう言うと、私は兄の顔をつねるのをやめた

「まぁ、探偵の双子の兄が怪盗だってバレたら私の探偵としての質がガタ落ちするから警部にも警察にも黙ってるんだけどね」

そう言うと、私は再び兄の顔をつねった

「とにかく私にも少しは感謝して頂戴」

そしてそう言い聞かせると、再び兄の顔をつねるのをやめた





















「だから痛いって、心葉…」

快斗がそう言った瞬間だった

プルルルッ…プルルルッ…

近くの公衆電話から着電があった

「えっと…」

「私達…?」

周りの誰もいない事から公衆電話の相手は確かに私達に掛けてきていた

とりあえずお兄ちゃんが出たのをそばで盗み聞きする…

「もしもし?」

『久しぶりだな、怪盗キッド』

「えっ…?
あの…どなたでしょうか…?」

『私の声を忘れたのかね?
前にも言ったハズだ、"宝石には手を出すな"と…』

(宝石…?)

そばで盗み聞きをしていた心葉はそう思うと、スマホで相手にバレない様に録音を始めた

『今回は我々が求めている宝石ではないので見逃してやるが、また同じ事を繰り返せば命は無いぞ』

電話の相手からは脅迫と受け取れる内容が読み取れた
そして相手はその言葉を最後に電話を切った

「何なの、この人…?」

快斗はそう呟いた
そんな中で心葉の脳裏にはある事がよぎった

(もしかして…父さんが殺された事件と何か関係がある…?)

心葉はそう考えると共に背筋がゾッとした

自分は世間に名が通った探偵だ…
本名"黒羽心葉"で活動している事が逆に父を殺した犯人に知られている可能性がある

しかも、世間には、世界的天才マジシャンである黒羽盗一の娘だという事も認識されている

そう思えば思う程、体が震えてくる

(大丈夫…
落ち着け、私…)

私はそう思うと一度深呼吸をして気持ちを落ち着けた

(父さんを殺した犯人を絶対に突き止めてやる…)

そう再び胸へと誓った





















「どうした、心葉?」

「え…
あ、なんでもない!!」

「そっか、それなら良いけど…
それより"ブルーパロット"に行くからオメーも付いてこい」

「は、はい?」

確か"ブルーパロット"って寺井がやってるお店だよね…?

まぁ、私も寺井に頼んでる物があったし、何なら今から取りに行くか…

お兄ちゃん、ビックリするだろうなぁ…

私はそんな事を考えながら、兄と共に寺井が経営するブルーパロットへと向かった
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