白い怪盗(まじ快中編)
□2.ブルーバースディ
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ーブルーパロットー
「"宝石には手を出すな"?
そう言ったのですね、その男は?」
「そう」
「"今回は我々が求めている宝石ではないので見逃してやるが、また同じ事を繰り返せば命は無いぞ"って…」
ブルーパロットを訪れた快斗と心葉はそう店主である"寺井黄之助"に話した
「もしかして親父が殺された事と何か関係があるのかな?」
「それは分かりませんが、今後は十分に注意した方が良さそうですね、ぼっちゃま」
「だーから、それやめてくれよ
寺井ちゃん、"快斗"で良いって」
「しかし、そうは参りません…
あなたは私のマジックの師である盗一様のご子息であられるのですから…」
「全く…
まぁ、寺井ちゃんがそうしたいのならそれでも良いけどよ…」
快斗は「ぼっちゃま」と呼ばれる事に違和感を感じていた様だった
「にしても、心葉お嬢様まで来るとは思いませんでした…」
「まぁ、探偵として怪盗のアジトを見ておきたいっていう気持ちもあったしね?」
私はそう言うと微笑んだ
「それにその"お嬢様呼び、直して"って言ってもお兄ちゃんの"ぼっちゃま呼び"と同じで、直すに直せないんでしょ?」
私はそう推理してみせると、案の定当たっていた様で、寺井はビックリしていた
「なぁ、心葉
そう言えば、ずっと聞きたかったんだけどよ」
「何?」
快斗からの突然の質問に私はそう答えた
「何で探偵なんか始めたんだ?
ほら、お前ずっと"秘密"って言って、教えてくれねぇじゃねぇーか」
「そう言えば私も気になっておりました
何故マジシャンの好敵手である探偵などになられたのかと…」
快斗と寺井はそう私に言った
「そうだね…
この場に寺井もいるからいっその事言うよ…
大切な事だし…」
私はそう覚悟を決めると淡々と話し始める…
「簡単に言えば、私も父さんが事故死したんじゃなくて、殺されたんじゃないかって疑ってたの」
「本当ですか?!
心葉お嬢様」
「えぇ、本当よ…
でも、8年前だとまだ私もお兄ちゃんも9歳だったから、証拠となる物を見つけたくても見つけられなかったし、だから私、父さんの事故の真実を暴こうと思って高1から探偵を始めたの
今じゃあのもう1人の高校生探偵と肩を並べるくらい名が知れてるし…」
「で、何か分かったのか?」
淡々と話す私に快斗が質問した
「うぅん、結局何も分からないまま…
探偵としては真実を暴いてからお兄ちゃんや母さんに話そうと思ったけど、今がこんな状況じゃ、ね…」
私はそう言うと、小さく深呼吸した
そして…
「でも、寺井と再会して父さんが事故じゃなくて殺されたって言う事が分かって良かった…
ありがとう寺井、私の疑いを確信に変えてくれて」
そう寺井に伝えた
「まぁ、父さんが8年前に姿を消した初代怪盗キッドだったって知った時はショックだったけど、今こうしてお兄ちゃんが2代目怪盗キッドとなって父さんの事件を暴こうとしてくれてるから私も協力してるんだけどね」
私はそう言うと微笑んだ
「そうか…
そう…だったんだな…」
快斗はそう呟くと、微笑む心葉の事をじっと見つめた