白い怪盗(まじ快中編)

□1.蘇る怪盗KID
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家に帰るともう既にお兄ちゃんは帰ってきていた

「ただいまー」

「心葉、さっきは助かった!!」

お兄ちゃんはそう私に言うと、私は呆れた様にお兄ちゃんの手にある宝石を見た

「それって"月の瞳"?」

「そうだぜ
綺麗だろ?」

「うん、綺麗だけど、盗みは盗みだからね?」

私はそう呟くと、小さくため息をついた





















「母さん、そういう大事な事は先に言っといてくれよー」

「まさか父さんが怪盗キッドだったなんて…」

私とお兄ちゃんはそうパソコンに向かって喋っていた
そのパソコンに映る相手は、快斗と心葉の実の母親である"黒羽千影"だった

そう、母さんは今は私達を日本に残して海外で暮らしている

「あら、私言ってなかったかしら?」

「全然聞いてないですけど?」

画面の前で惚ける母に心葉はそう言った

「なぁ、母さん
何で親父は殺されちゃったんだよ?」

「お父さんは生きてるわよ」

「えっ?!」

快斗の質問に千影はそう答えた

(あ、これいつものパターンだ…)

心葉は分かりきっていた
母が答えようとしている内容を…

「こ・こ・に」

千影はそう言うと、胸に手を当てた

「って、あのなぁ…!!」

快斗は母の答えに呆れていた

「にしても、面白いコンビよね…」

「面白いコンビって…」

「何の事?」

快斗と心葉は千影が言おうとしている事に疑問を抱いた

「妹は"探偵"、兄は"怪盗"だなんて…」

千影はそんな2人の質問にそう答えた

「何が面白いよの、母さん
私がさっきどれだけ苦労して警察にごまかしたと思うの?」

心葉はそう言ったが…

「あ、ごめん、快斗、心葉
お母さん、これから友達とパーティーなのよ」

「ちょっと…!!」

「ちょっと待てよ!!
母さん!!」

「それから、勉強もしっかりするのよ
ん、じゃ、愛してるわ、快斗、心葉」

母さんはそう言うと、私達に投げキッスをしてパソコンの画面を閉じた

「ったく…
相変わらずのマイペースだなぁ…」

「ほんとそれよ…
探偵の私でも母さんの心だけは読めないわ…」

快斗と心葉はそんな母に呆れていた





















「快斗ー!!心葉ー!!」

外から私達を呼ぶ声…

「相変わらずデッケェ声だな…」

快斗はそう思いながら、心葉と共にベランダへと出た

「ご、は、ん!!」

外から聞こえた声の主は青子だった

「いつも悪りぃな」

「青子、いつもごめんね」

そうろくに料理が出来ない快斗や探偵として忙しい心葉に変わって隣に住んでいる青子がいつもご飯を作ってくれるのだ

「今日はとびっきりのご馳走だよー!!」

「…?」

青子のその言葉に快斗は疑問を浮かべていた





















ー中森家ー

(ささささ、さ、か、な…)

(お兄ちゃん、うろたえてるなぁ…)

そう今夜のご馳走は、魚
快斗の大嫌いな魚

(そう言えば、私が学校帰りに言った事、もう試したんだ、青子…)

私はそう思うと、兄に隠れて苦笑するしかなかった

(だ、ダメだ…
いかなる時もポーカーフェイス…)

「おぉ、うまそうじゃん…」

「でしょう?
快斗がだぁーい好きなお魚だもんね」

(うわぁ…
青子、今までの事、根に持ってるなぁ…)

私はそう思いながらも、箸を手に持つと、兄の皿から1枚、刺身を取った

「じゃあ、頂きます」

そしてそう言うと、刺身を口に含んだ

「ん、美味しいー!!
やっぱり一仕事した後のご馳走は違うね!!」

「でしょ?
さぁ、快斗もどうぞ、たっーぷりお召し上がり下さーい」

(ぽ、ぽ、ぽ、ポーカーフェイス…)

快斗は妹が横で美味しそうに食べているのを見ながらそんな事を考えていた

そんな間も青子は快斗を追い詰めていく…

「ぎょぎょぎょー!!」

「快斗の弱点、見つけたりー!!」

快斗がそう絶叫するのと同時に快斗が持っていた"月の瞳"が青子が持っていた魚の口の中に入り込んでしまった

(あ、月の瞳が…)

私がそんな事を考えている間にも後ろでは2人が攻防戦を繰り広げていた

「このタイ、いくらすると思ってんの!!」

「聞いて驚くなよ…
時価4億円…」

青子の言葉に快斗はそう答えた

「う、嘘ー?!」

(嘘じゃないよ、青子…
だってあのタイの中には…)

驚いた青子がタイをそばにいた父である中森銀三に投げると、そのタイの中からキッドに盗まれたハズの"月の瞳"が出てきた

そんな所から出てくれば中森警部も驚くだろう

腰を抜かしていた





















私がその宝石をハンカチで拾い上げると、腰を抜かしていた警部に渡した

「どうやらあの怪盗さんの狙いの宝石じゃなかったみたいですね?」

そしてそう言うと、ハンカチごと警部に渡した

「あ、ありがとう…」

警部はそう言うと、私からその宝石を受け取った

私は宝石を渡し終えると同時に未だに繰り広げられている2人の攻防戦を眺めていた

ー『1.蘇る怪盗KID』終わりー
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