小説

□良い子は見ちゃいけません!
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楽屋にて。

ちびっこラッパーがお送りします。



ミナオンニとジヒョオンニがソファーに座って話している。

つい先月のこと。私たちは二人が付き合っていることを本人たちの口から知らされた。

初めは驚いたけど、お似合いだと思った。しっかりしているのにどこか抜けているところがある、なんだかんだ似ている二人。お互いが思いい合っているのが伝わった。

真面目な二人のことだ、私たちに話してくれるまできっと苦しんで葛藤して少しずつ思いを通わせてきたのだろう。確かな形になるまで。

打ち明けてくれたことがうれしかった。

応援したいと思った。




ただ、最近分かったことがある。

ミナオンニは…スイッチが入ると…止まらない。

最初の頃の遠慮は何処へやら、メンバーがいてもお構いなしにジヒョオンニを襲うのだ。

気を使ってこっちが退散する羽目になる。

未成年にそんなとこ見せないで!ミナオンニ!

私の心の叫びはオンニに伝わっているだろうか。

二人を見て思った。







「ジヒョって手ちっちゃいね」

ミナオンニが言う。

「そう?」

二人で手のひらを合わせる。

「ほら、やっぱり」

確かにジヒョオンニの方が小さい。
まあ、私よりは大きいだろうけど。なんか自分で言って自分で傷ついた。

「ちっちゃいね」

ミナオンニが笑って言った。

「ミナ、私、気にしてるんだけど」

合わせていた手のひらを離して、ジヒョオンニの手がミナオンニの頬をつねる。

「いたいいたい笑、ごめんってジヒョ」

まだミナオンニは笑っている。

「私、ジヒョの手好き」

「なんで?」

「女の子らしくてかわいい」

ミナオンニの手のひらがジヒョオンニの手のひらを包む。

「かわいいって…私はミナの手の方がいい…」

ぶつぶつ言いながらむくれるジヒョオンニ。

そんなジヒョオンニの様子を見て、ミナオンニはクスクスと笑っている。

気づいたジヒョオンニはへそをまげたようにフンッとそっぽを向いてしまった。

それでも手は繋いだままなのがなんだか可笑しい。

しばらくの沈黙。

ミナオンニはずっとジヒョオンニの手を楽しそうに触っている。

背を向けたままのジヒョオンニ。

その背中からは拗ねているオーラが色濃く出ているのに、ミナオンニはまるで気にせず手のひらで遊び続ける。

痺れを切らしたのか、ジヒョオンニが突然ミナオンニの膝元に寝っ転がった。

顔を見上げながら言う。

「そんな手じゃなくてこっち見てよ」

口はまだ拗ねてとんがっているのに言葉は聞いてる私が恥ずかしくなるほどに甘い。

堪らずミナオンニは吹き出した。

「ジヒョ、なにそれかわいい」

ジヒョオンニを上からぎゅっと抱きしめる。

抱きしめられているジヒョオンニはやっとミナオンニが自分を見て気が済んだのか、満足そうに鼻を鳴らしている。

だけど、ジヒョオンニはそれだけでは済まないと予想できなっかたのだ。

「ほんとかわいい」

そう言いながらミナオンニがジヒョオンニの首筋を指先で撫でた。

あ、駄目だ。
ジヒョオンニが食われる。

私の声はミナオンニには届かなかったようだ。

ジヒョオンニは多分気づいていないけど、ミナオンニは「そういう」気分になるとジヒョオンニの首筋を撫でるのだ。

不運なことに、何度もこんな場面に出くわしてしまった私が気づいたこと。

つまり私にとって緊急退避のサインだ。

チェヨン隊員!迅速に避難せよ!

指示に従って部屋を出ようと腰を上げる。

しかし、遅かった。

目の前でミナオンニがジヒョオンニの首筋に吸い付いた。

予想外の刺激にジヒョオンニはビクッと体を震わせる。

「ちょっと!ミナ!何やって…!」

制止の声を全く聞かずにミナオンニの口付けは耳元へと上がっていく。

困惑するジヒョオンニの目が私を見つけた。助けを求めているようだ。

「チェ、チェヨンたす「チェヨン、そういえばさっきツウィが呼んでたよ」

ミナオンニの声にかき消されたジヒョオンニの声。

無言の圧力が私を襲う。
用があるのが本当かなんてここでは重要ではない。逃げねば。

ダッシュでドアに向かう。

ドアを閉める直前聞こえたのは、キスをされたとき独特のくぐくもった「んっ」というジヒョオンニの声とそのオンニを押し倒しているのであろうソファーがギシッと軋む音だった。

廊下に出るとちょうどツウィがこっちに歩いてきている。

険しい顔で「今オンニたちが取り込み中だから」と、伝えるとすぐに察してくれた最年少。

何も悪いことはしてないのに気疲れした。

「まあ、オンニたちが幸せなら私たちも嬉しいですよね」

いい子なツウィ。

それとこれは何か違うが気がすると思いはしたけど、

「まあね」

と返事をして二人でその場を離れた。

いつも頼りっぱなしの二人には少し迷惑をかけられるぐらいがちょうどいいのかもしれない。
迷惑かけて、かけられて。それでこそのチームなんだから。

















その後、髪を少し乱れさせ、顔が火照ったままで、軽く来た服から覗く体はほのかに汗ばんでて、目には涙のつたった跡があって、脚の力が入らなくなっていて、というまさに事後の様子のジヒョを抱えて上機嫌にシャワー室に向かうミナを見たという報告をメンバーに嬉々としてするナヨンの姿が見られた。
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