本編

□第二の裏切り
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正直、あまりいい人生というものを送ってきた訳ではなかった。
ただ両親との仲が悪いだけ、ただ友達ができないだけ、端から見たらただそれだけだったんだと思う。
でも違う。俺は、いや私はあの時はとてもつらかった。
自分が生きていることをあまり快く思われてはいなかった。


『ちょっと!あなたまた遅く帰って来たの!?今日こそは早く帰るって言ったじゃない!』


『しょうがないだろ?急な仕事が入ったんだよ!』


『家と仕事どっちが大事なの!?そんなんだから玲があんな子に育ったのよ!』


『ちょっと待てよ!玲の躾はお前の仕事だろ!?それに玲の事は今に始まった事じゃないだろ!』


『何よそれ!!』


毎晩毎晩よく飽きずに喧嘩するものだ。しかも喧嘩の行き着く先はいつもひとり娘の事。友達も作らず、学校以外はいつも部屋に閉じ篭っている。そんな私を両親はいつも煙たがっていた。
でも私だって好きでこうなった訳じゃない。昔はそれなりにちゃんとした家族になっていた。それなのに父の仕事が忙しくなり、それで母がヤケを起こして喧嘩になったり、その被害が娘にまで来るようにもなった。


『玲!漫画ばっかり読んでないで勉強しなさい!』


『...』


『聞いてるの!?あなたは成績が普通だからって安心してるかもしれないけど、あっという間に他の子に抜かされちゃうんだからね!!わかってる!?』


『わかってるよ...』


『何よその言い方!だいたいねぇ...』


なんで私は生きてるんだろう。何の為に生きているんだろう。毎日そんな疑問を浮かべていた。
それなのに今や、蛍光中に通う男の子になっているなんてあの時は考えもしなかった...。
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