本編
□理由
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バタン!
「ハアーア!」
私は帰って来てすぐにランドセルを投げ捨て、ベッドにバフンッと横になった。
私の名前は「末峰玲」小学6年生の女の子だ。
今日の学校も退屈だった。毎日同じ事の繰り返し。その上両親との関係も最悪で、顔を合わせれば喧嘩ばかり。
そろそろ手は洗ったか、着替えたかとの母の罵声が聞こえてくるだろう。
〈うざい...〉
もう、うんざりだ、こんな人生。いい事なんて何も起きやしない。いっその事死んでしまいたい。
小学6年生という幼い心で、私はそんな事を思っていた。
そしてベッドの枕元にある1冊の本を手に取って、ページを開く。
「ライチ、ラライチ、ララライチ...」
手に取った本の台詞を声に出して読む。その言葉は体に溶け込んで行き、まるで自分もその世界に入ったかの様に感じられる。
「ライチ光クラブか...」
ライチ光クラブ。ある町の少年達がロボットを作り出し、世界征服をたくらむが最終的にそのロボットに殺されるというオチだ。
多少グロいシーンもあるが、私はこの本が気に入っている。
しばらくすると、ドタドタとドアの向こうから足音が聞こえてくる。
おそらく帰って来た私に気付いたのだろう。
〈ああ、うざい〉
私は本を抱き締め、そのまま目をつぶった。