本編
□第二の裏切り
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「き、今日のゼラ、おかしかったね」
「そうだな」
クラブの後、俺はカネダと二人で帰り道を並んで歩く。クラブが終わってからカネダに一緒に帰ろうと声をかけると、驚きつつOKしてくれた。
普段はあまりカネダと二人きりになる事が無いので少し新鮮な気分だった。
「ゼラは相当裏切り者に怯えてるみたいだな」
「で、でも誰もゼラを裏切ったりしないよ!」
「それは皆もそう思ってるさ」
「え?」
街頭が道を照らす中、俺とカネダはそんな事を言う。
何だかんだ言っても俺達は全員ゼラに忠誠を誓っている。タミヤもそうだ。
そう、たった一人を除いて。
「ゼラは多分、自分で作り出した幻想に怯えてんだよ」
「幻想...?」
「自分の予想は絶対当たるって思ってるからな」
「...」
実際に裏切り者はいるが、ゼラはジャイボ以外の人を疑っているのだ。そう考えると自分の幻想とも言える。
そこからはしばらく黙っていたが、俺は「そうだ」と口を開く。
「え?」
「カネダ、今日俺の家来ないか?」
「え?ど、どうしたの急に...」
「カネダ最近タミヤともダフとも会えてなくてすげぇ落ち込んでんじゃん。たまにはさ、俺の家にでも泊まって元気だせよ」
カネダは目をそらし、また親指の爪を噛み「で、でも...」と目をキョロキョロさせた。俺は安心させるようにニコッと笑う。
「パジャマとか貸すし、明日はそのまま学校行けばいいだろ?な?」
俺はカネダの肩を組んで言った。カネダは親指から口を離した。
「じゃあ行ってみようかな...」
「おしっ行こうぜ!」