過去 clap

□休日の朝
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ふと目を覚ますと、カーテンが開いていて、日差しが眩しかった。
アラームに叩き起こされる毎日と違う朝に、あぁ今日は休日だったと思い出した。
ぼんやりと時計を眺めてから隣のヴィクトルに顔を向けたが、そこにヴィクトルはいない。
(あれ…?)
ゆっくりと体を起こしてリビングへ向かう。コーヒーの匂いがした。
「あ、もう起きたの?おはよう」
エプロン姿のヴィクトルが朝食の用意をしていた。
彼は時折、こうやってキッチンに立つ事がある。
「おはよう。ヴィクトル起きたの全然気付かなかった…ごめんなさい」
「俺が君を起こさないように起きたんだよ。おはようのキスで起こしたかったなぁ」
「もう」
ジュージューと美味しそうな音がする。
「なに焼いてるの?」
「昨日ミラからもらったベーコンだよ。君に、だって」
「わぁ、美味しそう」
そう言って微笑むと、ヴィクトルも微笑み返してくれた。
大きな窓から差し込む光がとても清々しくて心地よい。
ヴィクトルの後ろの棚から、お揃いのコーヒーカップを出して並べた。
「ヴィクトルと2人そろっての休日なんてなかなか無いから、新鮮だね」
「君とのんびり過ごせる朝なんて夢のようだよ」
「私もだよ」
朝食は、トーストにオムレツ、サラダ、ベーコン、それにフルーツヨーグルト付き。
「朝からこんなにステキな、しかもヴィクトルの手料理だなんて、私って幸せ者だな」
「そう言ってもらえて、俺も幸せだよ」
テーブルについて、2人でゆっくり食べるモーニング。
「贅沢だな〜」
幸せを噛み締めながら、穏やかな時間に何度も感謝する。
「さて、今日はどうやって過ごそうか」
のんびり海を散歩するのもいい。ショッピングや映画を楽しむのもいい。少し遠出のドライブもいい。
「君と2人なら、どんな時間も愛おしいよ」
ヴィクトルはいつだって優しくて綺麗だ。私に幸せと愛する事を教えてくれた、気高くて尊い人。
「ねぇヴィクトル、」
この幸せな日々が、いつまでも続きますように。
「ありがとう」



End.



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