あの空の向こうへ

□あの空の向こうへ 10
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モスクワでひと段落した私は、ミラの泊まる部屋で久々に女子トークを楽しんでいた。
「えっ!なにこの鏡!マジ可愛いんだけど!ありがと〜!」
とミラは私のお土産を手に大袈裟な程喜んでくれる。
いつだって全力で感情をアピールするその素直な性格は、私にとってとても魅力的だ。
「この素材、ちりめんて言うんだって。綺麗だよね〜日本って感じで」
「ねぇナマエ、この素材で下着とか売ってないの?」
「え、下着?…探してみようか?」
「私じゃなくてナマエにだよ。ナマエの黒髪に絶対映えるって!ヴィクトル喜ぶよ〜」
「えっ」
「いいよね〜私も素敵な恋がしたいよ」
唐突に出たヴィクトルの名前に、どきりとしてしまった。
「そ、そう言えばミラ、合コンのイケメンとはどうなったの?」
「え、どの人だっけ?」
「医大生とか言ってた人」
「あーアレは無理!ひどいマザコンでさ、も〜騙されたって感じ!」
彼女の恋愛感覚は積極的でおおらかで大胆で、時に、
「ねぇねぇ、ヴィクトルってどんな感じ?」
「え?なにが?」
「なにって、夜よ!やっぱり強引?それとも受け身?ベッドの中でも紳士的なわけ?」
時に、とてもえげつない…。




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