あの空の向こうへ

□あの空の向こうへ 5
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ヴィクトルと勇利の絆はどんどん強くなる。勇利は色んなプレッシャーから自分で自分を支えられなくなったり、悩んだり迷ったり。そのたびにヴィクトルは、勇利が自分で答えを導き出せるように彼の心に踏み込んでいく。
自分の為に必死になるのももちろん大変だけれど、自分以外の誰かの為に必死になるのは、とても難しそうだ。

「ねぇナマエ。どうして勇利はあんなに自信がないのかなぁ」
「え?勇利って自信がないの?」
「・・・君はほんとに、俺の事しか見てないんだね」
「そ、そういうわけじゃないけど」
何も知らないのかとバカにされて恥ずかしいような、ヴィクトルの事しか考えてないとばれて恥ずかしいような。
「勇利はもっと堂々と自分の意見を表現したらいいのに。なぜだろう」
「周りの目が気になるから、とか」
「・・・周りの目?」
「自信がないのって、やっぱり周りの目が気になるからじゃないのかな」
少なくとも私はそうだ。
「誰かに何かを言われる事が怖いとか。そういう周りの目が気になって自分の行動が正しいのか間違っているのか分からなくなるとか。・・・あ、なんか違うかな」
ヴィクトルの傍にいる為に、私なりに頑張っている。あんな女はリビングレジェンドに相応しくないと言われないように、いや、何をしても言う人は言うのだけど。
「私にも何か才能があったらな。どれだけ背伸びしたって、ヴィクトル様の足元にも及ばないんだもの」
「ナマエも、自分に自信がないのかい?」
「え?あ・・・」
「どうして?こんなに綺麗なのに」
と私の頬にそっと手を添える。
「き、綺麗なんかじゃ・・・」
「毎晩言ってるだろ?ナマエは綺麗だよ。どんな時もね」
「それは、ヴィクトルが、ただ言ってるだけで・・・」
「俺は真剣に言ってるんだよ。こんなに俺の心を掴む女性はいないよ。未来永劫にね。それに他の誰が何を言ったって、俺がナマエを綺麗と思ってるんだからそれでいいんだよ」
「そうだろう?」と、微笑んで私の髪を撫でるヴィクトル。
あぁ、本当にこの人には敵わない。
きっと勇利も、同じようにヴィクトルに感謝しているはず。


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