あの空の向こうへ

□あの空の向こうへ 3
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「いや、大丈夫です。どっか旅館に・・・」
「え、なぜ?いつも一緒に寝てたのに?」
とヴィクトルは言う。
どこに寝泊まりするかで勝生家と揉めている。いくら同棲していたとは言え、よそのお宅にお邪魔するのもなんだし他人の家で彼氏と一緒に寝るとか・・・ちょっと。
「相部屋でいいだろ。部屋がねぇんだから」
「すみませんね・・・」
片付けた物置を自室にしたユーリの言葉に、勇利が呟きを返す。
「俺、ナマエが隣にいないと眠れないよ」
「はぁ?こいつが毎晩泣いてるのも知らないで観光してた奴がよく言うぜ」
「ん?なんでユーリはナマエが毎晩泣いてた事を知ってるのかな?」
「知らねぇよ、泣いてたに決まってんだろ」
「まさか毎晩傍にいたんじゃないだろうね」
「なっ!んなわけねぇだろ!想像だ想像!」
「・・・俺に断りもなくナマエの想像を?」
何を訳のわからないところでごちゃごちゃ揉めてるのだろうか。本題はそこじゃないのだけど・・・
「ナマエさん、外国の方の男女関係なんてみんなそうだし、大人同士ですし、気にしないから」
音もそんなに響かないから、と勝生勇利は笑っている。
「あの、だからどっかの旅館で結構ですので・・・」
この男たちは揃いも揃ってなぜこんなにもダイレクトなんだ。


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