Children of Chaos Final Fantasy XIII

□第10章 束の間の平安
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それからしばらく後。
「ああしてると、ごく普通の子供なのになあ」
「……そうか?」
海岸では珍しい蝶を眺めているネイルに対する感想である。
「そう以外に何に見えんだよ」
「……よく見ろ。そしたらわかる」
問いかけるレインを、軽くあしらうアルナ。
しばし後、レインも気づく。
「……地味なとこが普通じゃねーな」
「ああ。目立っちゃいないがな」
あっち行きこっち行き、ふらふらと方向が定まらない蝶を、彼女の目はしっかりと捉えているのである。
ちなみに、眺め始めて30分は経っているが、一度たりとも見失っていない。
「あれ、すげーなあ」
「少なくとも、注意力散漫なレイン姉には無理だな」
「んだとこら」
「それはそうと、もうすぐ海開きだろ。店の方、手伝わないでいいのか?」
「いっけね、忘れてた」
「……注意力散漫だな」
「うっせえ!」
怒鳴ってから、急いで駆け出すレイン。
苦笑すると、ネイルに目を戻すアルナ。
少女はまだ、蝶を目で追っている。
「……長くは、続かないんだろうがな」
そう一人呟くと、思いついたように立ち上がる。
「……さて、様子を見に行くか」
言って、彼もまた歩き出す。
レインが向かったのと同じ、我らが家に。
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