Children of Chaos Final Fantasy XIII

□第4章 過去と未来
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「……現実、なのかしら?」
「みたいっすよ、ほら」
自分の頬をつねって確かめる。
目の前の海岸には、見たこともない生物がたむろしていた。
「話題にもなるわ、これ」
「しかも4人の中学生が行方不明じゃね」
「ここは危険だぞ。何をしにきた」
「取材っすよ……って、うわ」
「アラ久しぶりね」
「千夏か。さっさと帰れ」
「つれないわね」
ため息をついた彼女は、とても同い年には見えない。
まるで、時が止まったかのような。
「あ、危ない!」
青年が叫ぶ。
生物の1匹がこちらを狙って飛びかかる。
しかし、彼女は、
「邪魔だ」
どこからともなく出現した紅の剣を一振り。
それだけで謎の生物は消し飛んだ。
「だから危険だと言った。さっさと帰れ」
私にも余裕がないんだ。
そう吐き捨てた彼女に直感する。
「消えたのは娘さん?」
「娘と姪と、預かってる奴2人だ」
「そりゃ心配っすね」
「……貴様にわかるか」
ぞくっとする低い声。うちのインタビュアーは地雷を踏んだらしい。
「ライトさん、どうしたんですか?」
「取材だとさ。暢気でいいな」
「……八つ当たりしないで」
とにかく、とその男性は振り向く。
「安全な場所までご案内します」

「ライトさんの知り合いでしたか」
「そう言う貴方は?」
「夫です」
「若っ」
インタビュアーが驚く。
確かに、12の子の親としては、若すぎる。
「ああ、僕は38ですよ」
「うっそお!」
「ほんとです」
どう見ても20代の容姿。
「さっきの人も若いし、この人も若いし、どうなってんですかい!」
「さっきの人、私と同い年よ」
「絶対一回りは違うと思ってた……」
呆然とするインタビュアー。
「まさか失踪したのが完全接続(フルコネクト)技術で名をあげ今は一匹狼で研究してる貴方とは……」
「それはもういいですから」
取材、早く済ませてください。
そう彼は言う。
「早く研究に戻りたいもので」
「……薄情な親」
ぼそっと吐き捨てるインタビュアーの青年。
聞こえたはずなのに、彼はあっさり笑った。
「そう見えるかもしれませんね」
「いや、どう見たってそうでしょうが!」
子供のこと、心配じゃないんすか?
敬語も忘れて突っ込む青年。
「そうですね……いまどうしているか、という心配ならありますけど、死んでしまうかも、というのはないですかね」
「は?」
何言ってんだ?という表情の青年。
「あの子を殺すのは今そこに巣くってる奴ら全員でも無理と思ってますから」
「まあそれはそれとして、今何を研究されているんですか?」
「人の魂ってやつですよ。昔からこれを研究したくて」
そういうと彼は笑った。
「娘のこともありますから」
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