Children of Chaos Final Fantasy XIII

□第2章 混沌の地 ヴァルハラ
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小柄な人はちょっと(じゃないか)時代遅れな大八車に、大量のガラクタを乗せていた。
見たところ不法投棄された家電達のようだ。
「だからやめてくれッス!これは俺の商品ッスから!」
「ああ?こんなガラクタ、誰が買うってんだよ。ははっ」
バカにしたように鼻で笑い、大八車の中を漁る男。
私はその瞬間、その男を敵と認識した。
駆け寄って、間に割ってはいる。
「やめなさい!」
「ああ?何だぁ、ガキが」
押し退けようとする男の腕をかいくぐり、鳩尾に膝蹴り一閃。
それだけで男は倒れ、のたうち回る。
私は男の顔をのぞき込んだ。
「もう二度としませんか?」
「…へい」
「声が小さい!」
「…!へ、へい!」
よろしい、と呟き、唖然としたままの男性に向き直る。
「さ、行きましょうか」

その男性はマーキーと名乗った。
「いやーほんと、助かったッス!お礼に何か、できることあったら…」
「この住所に案内してくれませんか?」
そう言ってメモした住所を見せる。
それを見て彼は、驚きの声を上げた。
「ここ、俺のうちッス!」
…運命とは皮肉なものだ。

ノラハウス。
それが彼が案内してくれた家。
「ただいまッス!」
「おう、おかえり…誰だ、それ?」
「…マーキー、いくらモテないからって」
「そんな子供連れて込んでも」
「誤解ッス!実は、…」
事情を話すマーキーさん。
「…ヒーロー目指す奴が助けられてどーすんのさ」
「しかもこんなガキになあ。あ、俺はスノウ。
 マーキーが世話になったな」
「は、はあ」
完全に雰囲気に飲まれていた。
というか、これはいわゆるシェアハウスというものだろうか。
「そうそう。ありがとね。あ、あたしはレブロ」
「俺はユージュ。こっちの厳ついのはガドー」
「あ、はい、よろしくお願いします」
「ていうかよ、何しに来たんだ?こんなところに」
あ、そうだ。忘れるところだった。
「あの、私がここに来たのは…」
「どうした?騒がしいが」
本題を切り出そうとしたとき。
目的の人が現れた。
「あ…」
「ん?何だ?」
忘れられてる。まあ当然か。
私は語りだした。
「私、貴女に会うために来たんです…」
夏の日が、落ちようとしていた。
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