怠惰の魔王は異世界で青春を謳歌する

□第3話 王都とAと武闘大会
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指名依頼の主は王都で小さな商会をしているという男だった。
「いやー、彼が突然の体調不良で無理だったのは残念だけど、お墨付きのある君なら大丈夫だよね!」
「…ごめんなさい、ホントごめんなさい」
「いやいや!それより君、王都の武闘大会って知ってるかい?」
「なんですかそれ?」
商人が語るに曰く。
王都の武闘大会は王立学院の入学試験も兼ねており、筆記試験の合格か武闘大会ジュニア部門の予選通過で身分問わず入学が許可されるのだとか。
その上、武闘大会に優勝すれば学費免除などもあるそうな。
「君も挑戦してみたら?」
「姉ちゃんならあっさり優勝できそうだよな」
「う〜ん、そうですね」
正直、この世界に関して私は無知だ。
その知識が得られる学院に通えるというのはメリットしかない。
「王都についたらエントリーしてみるか…」
そう決めた。

そして何事もなく王都についた。
商人さんの案内でエントリーを済ませ、ついでだからと荷運びを手伝う。
その最中、商人さんの妻だという防具職人さんが顔を出した。
身内の贔屓目抜きにしても王都一の職人だよ、と自慢する商人さんを信じて、じゃあこれを防具に加工してくれませんか、と数日前にシェリアが脱皮した皮を渡す。
奥さんが興奮した顔で引っ込んだところで依頼達成証明と報酬を受け取り、王都のギルドに向かう。
向こうのギルドで届けてくれ、と頼まれた手紙を渡すと、なぜかギルドマスターに会うことになった。
「…なんでですか?」
「手紙の内容がな。君をAランクに推薦する、というものだったからだよ」
「ええ⁉」
初耳だ。おじさん図ったな、と脳裏でぶん殴る。
「Aランクへの昇格はギルドマスターの承認が要るんでしたっけ」
「そうだ。まあ、お前さんなら十分やっていけるだろう」
この功績ならな、と付け加え、私はあっさりとAランクに昇格することとなった。
まあ要因の一つは確実にシェリアとの一件だろうけど。
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