Children of Chaos Final Fantasy XIII

□第3章 道を追って
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hope:side

「くそっ…」
どん、という音を立ててテーブルが揺れる。
「……荒れてますねえ…」
「…むしろ荒れてないホープ君の方が異常じゃない?」
無論のこと荒れているのはライトさん。
それをドアの陰から見ているのが僕とセラさん。
「義姉さん、ちょっと落ち着けよ」
「そ、そうですよ。ここで荒れてたって…」
「……うるさい」
懸命に宥めようとするスノウとマナさんを低い声で黙らせる。
ちょっと涙目になったマナさんがきょろきょろと見回し、その眼が僕らをとらえた。
「ホ、ホープさんからも何か言ってあげてください!」
「ホープ、頼む!義姉さん朝からこの調子で」
「黙れと言ったはずだが?」
……ライトさんから黒いオーラが出てます。
「お姉ちゃん、ちょっと、落ち着こう」
「落ち着いてなんていられるか!」
まあ、それはそうでしょう。
愛娘が行方不明(しかも確実に危険な場所にいる)なのだから、取り乱さない方が異常だと思います。
僕が冷静なのも、ライトさんがあれだけ取り乱してるから、という側面もありますし。
「……で、ホープ、何でお前はそんなに落ち着いてるんだ?」
「……ルミナなら大丈夫でしょう。九分九厘」
「根拠は?」
「シロガネもいますしね。まあ何より、」
彼女自身、かなり強いですし。
そう続けると彼女はは?とでも言いたげな顔になった。
「聞いてないぞ」
「…マナさん?」
「あの、彼女がうちの道場に通ってるのは知ってますよね?」
「ああ」
「………実は、あの子1番強いんです。師範達も含めて」
な、とライトさんが固まる。
そうでしょうそうでしょう。僕も最初は半信半疑でしたから。
「本当か?たった3年で?」
「はい。信じられないかもしれませんけど」
彼女の話によると、ルミナは道場に通いだした頃からライトさんの技を、まねぐらいには練習していたそうだ。
師範達から戦いの呼吸を教わると、その独特の技をうまく使えるようになって、
今や誰もかなわないらしい。
………師範達はてんさいだ、(天才かつ天災)と言っているらしい。
だが、それを聞いたライトさん逆にがっくりとうなだれた。
「ライトさん?どうしました?」
「……何で、」
「はい?」
「何で、…こうなるんだ…」
涙を流している。
これには全員が驚いた。
「ね、義姉さん?何で泣いてるんだ?」
「えっと…あ、もしかして…」
「……ああ、そういうことか」
納得したような声を出すセラさんとノエルさん。
「……あの時、ですか…」
僕も納得した。
ライトさんは昔、愛する妹を戦いに送り出し、その結果死なせてしまったという過去がある。
それにあの子を重ねたんでしょう。
とはいえ、今更どうにかできることでもない。
僕たちにできるのは、
「あの子達の帰る場所を守る、ぐらいですかね」
そう言って外を見る。
そこには未だ魔物がおり、機動隊が防護柵を建てていた。
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