怠惰の魔王は異世界で青春を謳歌する

□第3話 王都とAと武闘大会
6ページ/10ページ

「さあ、こっからがホントの決勝戦だ」
私がそう言うと少年は覚悟を決めたようで、剣を正眼に構えた。
というかあの剣渡したときに顔引き攣ってたよな。確かに貸してくれたおっちゃん結構偉い人っぽかったけど。
まあ後で聞けばいいか、と頭を切り替える。
そして私が地を蹴ると同時に向こうも距離を詰めてきた。
剣を流し、拳を止められ、打ち合う。
わかってたことだが、強い。
何が強いって、対応がとにかく早い。
天性のセンスもあるんだろうけど、多分それだけ努力もしてきたのだろう。
「…親に隠れてよくぞまあここまで…」
「誉め言葉はありがたく受け取るよ!」
ガァァァァァン、と轟音とともに同時に後ろに飛んで距離をとる。
向こうが剣を構えなおす。
こちらもとこぶしを握りこむと、痛みが走った。
…手にいくつか切り傷ができている。でも、痛みは気にならない。
相手の剣が魔法の炎に覆われる。
ーーーこれを決着の一撃にする。そんな決意を感じる。
深呼吸。私も覚悟を決めないと。
静寂の中、緊張が高まっていくーーー
刹那。何がきっかけかはわからない。
私たちは同時に駆けだし、そして。
交差する一瞬に、お互いに全力の一撃を叩き込んだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ