Children of Chaos Final Fantasy XIII

□第11章-γ 行方不明は呆気なく
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「昨晩はどうだった?」
「いえ、あの、その」
「……ほうほう。お楽しみだったようで」
「あまりからかわないでくれ。思い出を語り合っただけさ」
「体で?」
「やめてください!」
「ふっけっけ。わりいわりい」
すっかり元の姿に戻った彼女をからかいつつ、三人でテーブルを囲む。
「で、根本の方なんだがよ」
「え、手助けしてくれるんですか!?」
「おうよ。当然だ」
「なら、何か作戦でもあるのか」
「……これさ」
おかれたそれはごくごく小さなカメラ。
「あの、それ、見つかりそうな……」
「安心しろ。実はな……」
ひそひそと機構を説明するレイン。
それを聞き、二人に笑顔が広がる。
「確かに、これならいけそうです!」
「おう。じゃ、善は急げだ」

その日の午後。
とある大資本家の自宅にて。
ボゴッという鈍い音。
「全く、家出をして、帰ってきたと思えばまたいなくなり……」
ぐい、と襟首をつかむ男。
「教育が必要だな、ん?」
「そりゃこっちのセリフだ、おっさん」
「っ、何者だ!?」
振り返った瞬間、そこそこ鍛えているはずのその男は殴りとばされた。
大柄な少女によって。
「おい、無事か、メアリー?」
「はい、このぐらいなら……」
ほほを腫らしながらも気丈に立ち上がる。
「貴様、何者だ!?」
男が立ち上がり、憤怒の表情で問う。
「アタシか?アタシはレイン。レイン・ヴィリアース」
不敵にほほえみ、一言。
「おめーを殺すためにきた」
「な!?」
「ちょ、レインさん!?」
「あ、わりい。『社会的に』殺すために、だったな」
「……どうするつもりだ」
「どうするつもりも何も、もう作戦は成功してんだがな」
メアリーを指さし、一言。
「こいつへの所行は、今、世界中に発信されてるぜ」
「んな!?」
レインの渡したカメラの最大の特徴。
実は布に密着させると縫い目の間から向こう側が撮れるのだ。
それ故、ポケットの底に仕込んで、という作戦である。
「いくら目敏いてめえでも、こればっかりは見抜けなかったみてーだな」
「……ふん。そんなもの。もみ消すことなど」
「残念、たやすくねーんだな、これが。なんせ」
ーーーーーあのホープ・エストハイムが関わってるもんでな。
「な、何だと!?」
「え、嘘!?どうして?」
「あ、言ってなかったな。アタシ、アレの姪なんだ」
「ええーーーー!!!」
「ついでに言うとこっちの結構偉いさんにもパイプがあったみてーでなんか根回ししてたっぽいぜ?観念しろクソ野郎」
「バカな……バカな」
「まーとりあえず逃亡防止用に縛っとくか」
そこらに落ちていた鞭を縄代わりに縛る。
「あの、ありがとうございました」
「気にすんな。それより、お袋さんを助けに行ったらどうだ?」
「はい!本当に、お世話になりました!」
手を振って駆けだしていく女性。
レインはふう、と息を吐き出した。
さて、……帰るか。
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