Children of Chaos Final Fantasy XIII

□第11章-γ 行方不明は呆気なく
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案内された家は、彼女の自宅だという。
「同棲中か」
「はい」
インターホンを鳴らすと、すごい勢いで足音がして、
ばん!と効果音をつけたくなる勢いでドアが開いた。
「メアリー!?」
補足するが、メアリーとは行方不明(現在は少女化している)の彼女の名である。
「……愛されてんな、お前」
「何だ、違うのか……誰かは知らんが、」
「帰れっつってもなあ。そういうわけにゃいかんのよこちとら」
「……用件は?」
「あんたの行方不明の彼女さんについて、だ」
「…………入ってくれ」

「はあ!?この子どもがメアリー!?……入れて損した。さっさと帰ってくれ!」
「……ちっとストップ」
憤然として去ろうとした彼を文字通り足止めする。
具体的には足を凍てつかせて。
「な、何をする!?」
「ほれ、こういうときにはなんかあんだろ?そのメアリーさんしか知らんよなことが。つーわけで」
ぽん、と頭を叩いて唆す。
「吐け。飛びっきり恥ずかしいことからな」
「ええっと、初めてのデートの時、浮かれすぎて見に行く予定の映画のチケット忘れたとか、同棲初日に張り切って料理に手を出したら大失敗して危うく火事になるとこだったとか」
「……浮かれるとだめなタイプか」
「はい。普段は冷静で、すっごく頼りになるのに。あ、そうだ!」
「な、なんだ?」
唖然呆然としていた彼が、ビクリと身をふるわせる。
「多分、左腕に歯形がまだのこってるはず!」
「……何でそんなもんが」
「私が家を出る前に大喧嘩して噛みついたからです!」
「もうわかった!わかったから!彼女は間違いなく本人だ」
これ以上黒歴史を暴かれてはたまらないのか、彼氏が大声を上げる。
「ほれみろ」
「……それは分かったが、何で?」
「うちのカシコは子供時代のトラウマと昨今の不可思議現象のせいっつってたな。あんたがいねえと話せねえっつーから連れてきたんだが」
「……だから実家には帰らない方がいいって言ったじゃないか」
「でも、そういうわけにはいかないもの」
「……話を聞かせてくれ」
どっかりとソファーに座るレイン。
「DVです」
「……この年にもなってか?」
「昔からなんだ。彼女の父親は著名な資本家で………って言ったら分かるだろ?」
彼が述べた名前は、レインですら知っているような大資本家の名前だった。
「外面がよくて、私がDVを訴えても、誰も信じてくれなくて」
「そんじゃ、なんで実家に帰った……ああ。お袋さんか?」
「はい」
「で、結果返り討ち、と」
「はい」
「それにしても、どうやったら治るんだ、これ?」
「あ、そういえば訊いてませんでしたね」
「話題転換がはええなおめえら」
まあ、DV云々に関しては今は後回しだ。
乗り込むにしろ、彼女が元に戻らないと話にならない。
「今の状態は、心が『過去』に引っ張られて、それが体に出てるんだ。つまり、心を『今』に引きずりもどしゃいいのさ」
「???つまり?」
「親父のDVにあんたの愛が負けてるってこったよ」
「!?!?ちょ、レインさん!?」
「後はまあ、頑張りな。明日また来るから、邪魔者は一時退散させてもらうぜ」
そう言い残して家を出る。
さて。
「DVのほうは……叔父貴にでも相談すっか」
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