Children of Chaos Final Fantasy XIII

□第4章 過去と未来
2ページ/14ページ

Tail;side


「話って何?」
「……まさか」
「いいのか?」
三者三樣の反応の幼なじみたち。
彼らには少し早いかもしれない。
とくにまだ無邪気なルミナには。
そんな事を思ったら、そのルミナが言った。
「大事なことなんでしょ?ちゃんと話してよ」
私たちもちゃんと聞くから。
その言葉にふと微笑む。
普段何だかんだと人を振り回しがちな彼女は、結構人の心に敏感なのだ。
「それでは話しましょうか。
 ……僕が、ノラハウスに来る前の話です……」
今まで1人にしか話したことのない話。
それを聞いてくれた者は、ただ無言で僕を見つめていた。



僕の記憶がはっきりしているのは、2歳の頃からだと思います。
その以前はスッパリないんです。そこからは毎日のどんな些細なことでも覚えているのに。
僕がその頃いたのは小さな村でした。熱帯の木々に囲まれ、草木の恵みを得て暮らす、小さな集落。
目が覚めたら、そこにいたんです。それ以前のことは、何も覚えていなくて……。
それはさておいて。僕はそこで2年と63日を過ごしました。
その最後の日、僕がいた村は襲われたんです。
銃を持った兵隊に。

これは後で調べたのですが、当時そこは独裁をしく政府の軍とそれに反逆する反政府軍の戦闘地域であり、政府軍が僕がいた村を拠点として使うために強襲したそうです。……何も、皆殺しにする必要はなかったでしょうに……

村の人たちは全員が全員、僕を逃がすために倒れていきました。
世話してくれた小母さんも。森で生きる術を教えてくれた小父さんも。昔話や伝承を話してくれたお爺さんも。みんな、撃たれて倒れたんです。
ただ、僕に逃げろ、死ぬな、そう言って……
2日と6時間、森の中をさまよって、僕は大きな街にでました。
その間は、村の人が教えてくれた知識が役に立ちました。
疲れにくい歩き方、水の飲み方、食べられる木の実の種類や取り方…
……すみません、思い出しちゃって。
その街は、僕にとって未知の場所でした。
物を食べるにはお金がいる。そんな事も初めてでした。
どう生きたらいいんだろうか。いっそ森の方が生きやすいんじゃないか。
そんな事を考えながら街の裏通りを歩いていたら、声をかけられました。
「おいお前、見かけない奴だな。何処から来たんだ?」
声のした方には、多分今の僕と同じぐらいの少年と、彼の妹と思われる10歳ぐらいの少女。
その後ろに7人、10にも満たないであろう少年たち。
「森から」
「森!?嘘だろ。あんな場所、お前みたいなガキが1人で生きれる訳ねえ」
「嘘じゃない。僕、知ってる。食べれる物がどうしたら取れるか、危険が何処にあるか。全部、知ってる」
その証拠に、と僕はまだ食べていなかった木の実を出しました。
全員が驚いた顔をして、その実を見つめていました。
「……なあ、お前、ここでの生き方、教えてやろうか?」
「いいの?」
「ああ。そのかわり、森での生き方を教えてくれ」
「わかった」
願ってもないことでした。
それから、僕を含めた10人は、街で恵んでもらったり、足りなかったら森に入って木の実を取ったりして暮らしました。
そのリーダーの彼、ビートは、よく僕から話を聞きたがりました。
そしてキマイラ、という怪物の話を聞いたとき、こう言ったんです。
「それじゃお前は尻尾だな。俺の考えることに、いい意見を出すし、いざとなったらみんなを守れる」
当時僕は最年少でしたが、いろいろ知識が多いので、頼りにされていたんです。
みんなの後ろから知識と知恵で助けてくれる、って。

「だから、テイルって名乗ってるんだ」
「へえ、なるほど」
納得したような声を出すルミナとアルナ。
彼らには少し酷な話かもしれない。
でも、もう話さないわけにはいかない。
「……街に着いてから2ヶ月と18日目、その街もまた、政府軍に襲われました。
 そして僕らは、捕らえられて……兵士にされたんです」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ