novel

□のるかそるか 13
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「名無し名前っち、しっかりしてたから、あたし、つい頼っちゃって、友達っていいな、って思って」


とおでこに手の甲をあてるエリに、野田は目を細め、


「ねー、いいよねー」


と小首を傾げて愛想笑いをしたあと、わたしに振り向き


「あんたを頼りにする人がいるなんて、東京は広いねぇ。流石は大都会だ」


と変な感心の仕方をした。


そして、ついっとエリへと顔を向けると


「どちらか一方が頼るだけなら、友達とは言えないんじゃないかね」


と、にこやかに物申した。


神妙に頷くエリを見ているうちに、わたしの口元が緩んでいった。


俯いて声を立てずに、笑った。
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