novel
□のるかそるか 13
2ページ/5ページ
「名無し名前っち、しっかりしてたから、あたし、つい頼っちゃって、友達っていいな、って思って」
とおでこに手の甲をあてるエリに、野田は目を細め、
「ねー、いいよねー」
と小首を傾げて愛想笑いをしたあと、わたしに振り向き
「あんたを頼りにする人がいるなんて、東京は広いねぇ。流石は大都会だ」
と変な感心の仕方をした。
そして、ついっとエリへと顔を向けると
「どちらか一方が頼るだけなら、友達とは言えないんじゃないかね」
と、にこやかに物申した。
神妙に頷くエリを見ているうちに、わたしの口元が緩んでいった。
俯いて声を立てずに、笑った。