novel
□のるかそるか 8
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つまり、何もかもが怖いのだ。
だが、これら全部を知っているのは、この広い東京でわたしだけだ。
野田も知っているが、野田は東京にはいない。
怖い、怖いと言いながら、わたしは本心ではそう思っていなかった。
自分自身の事だから贔屓しているのではない。
例え他所の人の話としても、本気で怖いとは思わないだろう。
気味が悪いとも思わない。
だからといって、声援を送る気も起こらない。
頑張ってるんだなぁと、漫然と思うきりだ。
あぁ、そういう人なんだなぁ、と了承するのみである。