novel
□のるかそるか 6
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数日経って、親から上京の許可がおりた。
長くて2年という期限付きだった。
四年制大学に行かせたと思い、2年間の回り道なら容赦するとの理由を、親はひねり出したようだった。
しかも、餞別として百万円を貸してくれるというのだ。
「どうなんだろうねぇ」
野田は大袈裟に溜息をつく。
「おたくの親御さんにも気は確かかと詰め寄りたいよ。百万円をぽんと渡すにいたっては、もはや言語道断の域だとあたしなんかは思うけどね」
「貰った訳じゃないよ。貸してもらったんだ」
野田はうちの親の取り立ての厳しさを知らないんだ。
「貸したものは必ず回収するんだよ」
と、わたしは口を尖らせた。