novel

□のるかそるか 10
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大野さんと付き合うようになって、前以上に大野さんのことを考える時間が多くなった。


大野智という名前も、携帯の番号も、血液型も、誕生日も、子どもの頃好きだったテレビ番組も、休日の過ごし方も、本人から直接聞いた。


大野さんが師事していた小笠原先生の事も、小笠原先生がわたしの母校である短大から依頼された絵画のモデルのひとりにわたしも参加していたことも、その為の写真撮影に大野さんが立ち会っていたことも二人の間での話しで明らかになった。


「まいったなぁ、世間はせまいねぇ」


と大野さんは頬杖をつき、感に耐えない風だった。


「偶然すぎますよねぇ」


とわたしも首を捻ってみせた。


その撮影の時に大野さんに一目惚れしたのだと思えば、わたしも感に耐えなかった。
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