novel
□のるかそるか 6
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江崎さんという人も、名の知れた画家で、検索すれば色々と分かるぐらいの人だった。
「で、分かっちゃったんだ」
野田は存外爽やかに笑った。
「分かっちゃったねぇ」
わたしも爽やかに返答した。
「分かったところで、どうする事も出来ないけどねぇ」
と言う野田の語尾を尻取りするみたいにさらって、
「どうする事も出来ないから、東京に行く事にしたんだよ」
と、告げた。
「もう、会社も辞めちゃったんだ。ネットで部屋も見つけた。来月引っ越す。お正月には帰って来ると思うけど…。暫く会えなくなるねぇ、野田」
まくしたてるように言葉を並べた。
顔は見なかった。