書物
□南蛮甘味の正しい食べ方
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ゆっくりと近付いた才蔵さんは私の手元にあるちょこれいとに目を向ける。
才蔵「ちょこれいと..だっけ?誰に渡すの?」
揶揄い混じりの口調で妖しく微笑みながら手元のちょこれいとを才蔵さんの指が摘みそのまま口に入れる。
優「あ!才蔵さん、立ったままだなんてお行儀が悪いですよ?」
才蔵「他の男に食われる前に味見。必要でしょ?」
くすくすと笑いながら才蔵さんは部屋に向かって行く。
優「ま、待って下さい」
才蔵「行儀が悪いんでしょ?」
行くよ。と手を引かれ才蔵さんの部屋へと戻る。
才蔵「で、誰にお前さんは渡すの?」
優「わ、私が好きなのは才蔵さんだけです!才蔵さんに渡す為に探していたんですから..」
むぅっと頬を膨らませそっぽ向くと才蔵さんの綺麗な指が頬に添えられ強制的に才蔵さんの方を向かされる。
才蔵「幸村も優しくないねぇ。尻餅つく前に抱き上げればお前さん手首なんて捻らないのに」
そっと左手首を掴まれると先程まで感じなかったがピリッと痛みが走る。
才蔵「まぁ、触ったら幸村でも許さないけど」
才蔵さんは懐から軟膏を取り出し優しく手当をしてくれる。
優「才蔵さんいつから見ていたんですか?」
才蔵「ん?お前さんが頬を緩めて城下でちょこれいとを買ってる時から。」
随分と幸せそうだったね。と微笑まれ顔が熱くなる。
優「見ていたなら声掛けてください!」
才蔵「はいはい」
睨みつける私を余所に才蔵さんは満足そうにちょこれいとを食べていく。