書物

□月明かり(才蔵さん視点)
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まだ夜が明けないうちに一つ増えた気配に気づき隣で眠る優を起こさぬ様に褥を抜け出し気配がある屋根へと上がる。

才蔵「..なんの用。」

嫌な顔を隠さず用を聞き出す。

清広「才蔵さん。」

忍らしい無表情のまま書状を差し出され中身を一読すると素早く破り捨てる。

清広「才蔵さんにしか熟(こな)せない任務です。」

才蔵「...そう言えとジジィに言われた?」

冷ややかな笑みを浮かべると清広は眉間に皺を寄せた。

才蔵「...夜に発つ。」

その言葉に清広は頷くと旋風を残して去っていった。

(はぁ...月見は無理だね)

暫く屋根で物思いにふけていると夜が明け部屋に戻り穏やかな寝顔で眠る彼女を抱き締めると身動ぎながらぼんやりと目を覚ます。

才蔵「起きた?悪いね。」

優「ん...おはようございます...」

まだ寝ぼけ眼の優に口付けし任務の事をいつ話すかを考える。
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