書物

□日頃の感謝を甘い言の葉に乗せて
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薄ら雪化粧をした庭でいつもと変わらず鍛錬に勤(いそ)しむ幸村様に会釈(えしゃく)し着物を包んだ風呂敷を抱え廊下を急ぐ。

寒さに身震いしながら才蔵さんの待つ部屋に近付くと入れとばかりに襖が開かれる。

声を掛けずとも自分の気配に気付いて入室を促されるのは嬉しくて頬が緩む。

なかなか入らずに開いた襖を見ていると中から銀色の髪と緋色の瞳がこちらを覗く。

才蔵「..ねぇ。寒いんだけど入るの入らないのどっちさ。」

怪訝(けげん)そうな顔でじっと見つめられるが声音(こわね)は穏やかで優しい。

優「才蔵さん」

嬉しくて名を呼ぶと部屋の主は視線で再び入室を促すとすっと部屋の中に消えて行く。

包みを抱え部屋に入ると火鉢のおかげか温かい。

才蔵「遅かったね。で..その包みはなに。」

私の抱える包みをひょいと摘み上げ私と包みを交互に見る。

優「ふふっ..明日は祝いらしいので正装の着物をお持ちしました」

才蔵「祝い?なにかあったっけ。」

包みを解き丁寧に畳まれた着物を才蔵さんは訝(いぶか)しげに見つめ眉間に皺を寄せる。

優「はい..才蔵さん、明日で"天下統一恋の乱〜Love Ballad〜華の章"が三周年を迎える日ですよ」

私の言葉にあぁ..と短く答え納得した様に見つめられる。

才蔵「へぇ?三周年ねぇ..お前さんと生きると決めて早、三年か..早いねぇ」

私の頬に優しく触れながら微笑みを浮かべる才蔵さんの手に自らの手を重ねる。

優「はい。才蔵さん..三周年おめでとうございます。そしていつも護って下さってありがとうございます。これからもずっと..お傍にいさせていただけますか?」

才蔵さんの緋色の瞳を見つめ答えを待っていると不意に距離が縮まり唇に柔らかな感触を感じる。

すぐに離れていった体温に頬が赤らむ。

才蔵「..お前さんの隣が俺の居場所。俺はお前さんと生きると決めたからね。お前が嫌だと言っても離さないよ。」

私の唇を親指で優しく撫でながら優しく微笑む才蔵さんに思わず涙が零れる。

優「..っ、才蔵さん..愛しています..今もこれからも..」

首に腕を回し抱き着くと逞しい腕が抱き締め返してくれる。

才蔵「ん。...偶には伝えてもいいね。..優。愛してるよ。」

互いに強く抱き締めあったまま微笑み合う。これからもこの幸せを守り続ける事を誓って。

~終~




(天下統一恋の乱〜Love Ballad〜華の章配信三周年おめでとうございます♡)


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