書物

□大切な貴方に温かい贈り物を
3ページ/3ページ

(うーん..一緒に..じゃなくて先に入って後から蛍くんに来てもらった方がいいかな..)

広間が近づくにつれて一緒に入るのは驚きが少ない気がして私は咄嗟に思いついた作戦を実行する。

優「あ、蛍くん私先に広間の中見て来るから待ってて?」

不思議そうな顔をしながらも素直に頷き広間の外で待っていてもらう。

中に入り待っている皆さんに蛍くんの到着を合図するとあからさまに不機嫌な顔をした才蔵さんの隣に立つ。

優「蛍くん、入ってきていいよ」

中から声を掛けるとすぐに蛍くんが顔を覗かせる。
それと同時に盛大な拍手とおめでとうと言う声に蛍くんは目を瞬(まばた)かせている。

蛍「.....今日...なにかある...?」

首を傾げる蛍くんの傍に雪さんと無理矢理連れてこられた才蔵さんが近寄る。

雪「あら、今日は蛍の誕生日よ?おめでとう蛍」

優しく微笑みながら蛍くんを抱き締める雪さんが才蔵さんを睨む。

雪「才蔵。」

呼ばれた才蔵さんは溜め息を零すと視線を合わせずに蛍くんの頭に手を乗せる。

才蔵「...おめでと。」

蛍「..ありがとう、お兄ちゃん」

才蔵さんの言葉に嬉しそうに顔を綻(ほころ)ばせる蛍くんが可愛くて私もつられる。

(良かった...)

雪「...ちゃんと参加しないと優ちゃんを攫うって作戦やっぱり才蔵には効くわねぇ。」

優「!」

雪さんはいつの間にか私を後ろから抱き締めてくすくすと笑う。

才蔵「雪。優に触らないでくれる。」

すぐさま逞しい腕に抱かれ見上げると才蔵さんは不機嫌なまま雪さんを睨む。

雪「少しくらいいいじゃない。優ちゃんの事は気に入ってるのよ?」

蛍「...俺も優好き」

沢山の贈り物を抱えて嬉しそうに皆さんの輪の中にいる蛍くんがこちらを見て微笑む。

優「蛍くん、ありがとう。それから..お誕生日おめでとう」

才蔵さんの腕からすり抜けて贈り物を蛍くんに渡すとありがとうと微笑んでくれた。

蛍「...お兄ちゃん達も皆も..嬉しい、ありがとう」

こうして皆の笑顔がいっぱいの中蛍くんの誕生日は行われていった。


~終~



(蛍くんHappy Birthday♡)


次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ