書物

□Trick but Treat....
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才蔵さんの前に団子を乗せた盆を置くと才蔵さんは訝(いぶか)しみながら団子を見ていた。

才蔵「ねぇ。なんなのその団子。」

優「今日ははろうぃんという南蛮の催しみたいで南瓜と聞いて団子に練り込んでみたんです。」

南瓜を使った甘味もあると人々に聞き団子に練り込んでみたけれど食べてくれるか不安になりながら才蔵さんを見つめていると才蔵さんはへぇ。と一言だけ言って団子を口に運ぶ。

才蔵「.......。」

優「.....。」

もぐもぐと団子を咀嚼しては飲み込み。無言のまま食べ続ける才蔵さんに不安を感じた。

(なにも言ってくれない...団子と南瓜は合わなかったのかな..)

俯きながらそんな事を考えていると前が不意に影になり顔を上げるといつの間にか目の前に才蔵さんがいて緋色の瞳がじっとこちらを見ていた。

才蔵「なに俯いてるのさ。」

離れ無いまま問われあまりの近さに頬が一気に熱を持つ。

才蔵「半分食べてからで悪いけど。お前さんはろうぃんには言葉があるの知ってる?」

微笑みながら聞かれて私は知らないと首を振る。

才蔵「とりっくおあとりーと。意味は甘味をくれないと悪戯をするって意味ね。」

物知りな才蔵さんに驚きながらも感心する。

優「なら団子を用意していたので悪戯は無いですね」

微笑みながらそう言う私に才蔵さんは何か企みを含んだ微笑みを浮かべていた事を私は気付けなかった。

(才蔵さんの悪戯なんて考えただけで恐ろしい...)

才蔵「ねぇ。」

考え事をする私に才蔵さんはにっこりと微笑んだまま見つめていた。

優「なんですか?」

才蔵「お前さんに俺が言うのはとりっくばっととりーと。」

聞いた事の無い言葉に驚いている私を敷いていた褥に押し倒し才蔵さんは耳元で艶めかしく囁く。

才蔵「意味は----------。」

耳元で囁かれた意味を理解した時には既に才蔵さんによって甘く溶かされ反抗なんて出来なくなっていた。

~終~









才蔵さんが言った言葉の意味...それは"甘味をくれても悪戯をする"という才蔵さんの為にあるような意味.....。
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