書物

□それぞれの秋
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暑かった夏が過ぎ木々の葉が紅く色ずく時期。

優「もうすぐ秋だなぁ」

いつものように洗濯物を干しながら独り言を呟く。

その呟きに微かな笑いを孕ませた声が返ってくる。

??「くくっ..もうすぐじゃなくてもう秋でしょ。」

揶揄う様な声に思わず振り向くと縁側に腰をかけ山積みにしていた団子を食べながら笑う才蔵さんがいた。

優「才蔵さんいつからそこに?」

才蔵「さぁね。」

いつもの素っ気ない答えに苦笑いしながらふと思った事を聞いてみた。

優「才蔵さんは秋と言ったら何を想いますか?」

突拍子もない問いかけに才蔵さんは目を見開いていた。

才蔵「なにさ急に。..秋ねぇ。考えた事ないけど..お前さんじゃない?」

優「私..ですか?」

首を傾げる私に才蔵さんは楽しげに微笑む。

才蔵「そ。お前さん秋はいろいろ食べてるでしょ。その印象が強いからね。」

優「!///」

確かに秋はいろいろ食べ物が美味しくなるから食べ過ぎかもしれないけどそれが才蔵さんの想う印象だと思うと恥ずかしくなる。

才蔵「お前さんは..まぁ、聞かなくても食べ物なんでしょ。..団子ご馳走さん」

最後の団子を食べ終わるとその一言だけ残しあっという間に姿を消した。

優「...恥ずかしくてもう才蔵さんの顔見れない..///」

今年の秋は食欲を抑えると誓ったのだった。




~終~
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