ONE OK ROCKな日々
□結婚生活〜Toru ver.〜
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ある日。
私は久しぶりにONE OK ROCKがレコーディングをしているスタジオに差し入れがてらTakaさんに相談に訪れた。
「お〜!麗じゃん!久しぶり」
「お久しぶりです」
「どーした?Toruに用事か?呼んでこようか?」
「あっ違うんです!」
「ん?」
「今日はTakaさんにちょっと相談に乗ってほしくて」
「ほう。ん、座って」
「あ、ありがとうございます」
「んで、相談って?」
「実は……Toruのことなんですけど」
「ん」
「私、結婚してから1回も愛してるって言ってもらったことがなくて」
「え?」
「あ!すいません!知らねぇよって感じですよね。でも、今凄く悩んでて…。凄く良くしてもらってるし、カッコいいし、本当に大好きなんです。」
「なるほど。麗はToruに愛してるって言ってるの?」
「まぁ、はい。毎日は恥ずかしすぎて言えないですけど、記念日とか誕生日とか、とにかく特別な日にはなるべく言うようには…」
「ん〜、なるほどね。だけど、Toruはそれにも答えてくれないと」
「はい」
「うん。それなあれだな。ん〜………………あ」
「え」
「俺今二つ思い付いた」
「?」
「とりあえず、1つ試してみるか。麗とToru結婚してから、まだミッシェルとかTomoyaの奥さんとか込みで飯食ったことなかったよな?」
「あ、はい」
「それがポイントなんだよ。RyotaとTomoyaは、普段から結構そういう言葉言うみたいだからさ、俺が上手いこと言って自然に言葉言わせるから、したらToruも周りの空気ってもんがあるし、比較的言いやすくなるんじゃないかと」
「……言いますかね」
「どうだろうなぁ、ん〜。でも、やってみようぜ」
「はい!」
私とTakaさんは、急いで店の手配やら日程の調節をして、相談から1週間後の日曜日。作戦決行の日を迎えた。
一番の重要人物であるToruは、時間の1時間前に起きてきて、
「行くのめんどくさいんやけど」
なんて言ってギターをいじり始めた時はひやっとしたけど、私が「他のメンバーの奥さんに会いたい」って言ったら、ごそごそと着替えを始めて、なんとか目的地に連れて来ることができた。
食事会は、とても楽しいものだった。
Ryotaさんの奥さんは、Toruが大好きなあのアヴリルの妹さんで、とてもきれいだった。Toruに少しずつ教えてもらっているつたない英語だけど、会話ができて、とても嬉かった。
Tomoyaさんの奥さんは、私と同じ一般の人だったから、前から連絡はとらせてもらっていたけど、会うのは初めてだった。気さくに話しかけてくれて、旦那の苦労話なんかで盛り上がって意気投合した。
みんな少しずつお酒が回ってきたころ、Takaさんが口を開いた。
「Tomoya」
「ん〜?」
「奥さんのこと好き?」
「えっ突然どうしたん」
「いやぁ。ほら?俺ら相変わらず夢追いかけて海外にしょっちゅう行くから、なかなか二人の時間って取れてないんじゃね?それでも気持ちが変わってないかの確認」
「なんだそりゃ(笑)俺はね〜好きっていうか、めちゃくちゃ愛してる」
『おぉ〜〜』
「なっなんだよ〜照れる!」
愛してるって言われたTomoyaさんの奥さんを見ると、嬉しそうにTomoyaさんに微笑みかけてた。
そうだよね。
「愛してる」って、やっぱり特別な言葉だよね。どうしてToruは言ってくれないんだろう…………。
「Ryota!お前も言っとけ!」
「えぇっ!むちゃぶりすぎるよ森ちゃん!」
「なんだよ、言えねーの?ミッシェルが悲し」
「愛してる!愛してる愛してる愛してるI love ミッシェル!」
『あははは』
「Toru」
「……ん?」
「お前も麗に気持ち伝える良い機会じゃねーか?酒も入ってるし」
「………。」
「…あぁ……………俺は、いーや」
「いや、何でだよToru!俺らだけズルいじゃん!」
「お前らが勝手にTakaのちゃかしに乗ったんだろ」
「ふぃー」
「………。」
やっぱり、言わなかったな……。
Takaさんに目を向けると、ちょうど私を見たところで、なんだか申し訳なさそうな顔をしてた。
会の後。
「Toru!」
私とToruが帰ろうとしていると、Takaさんがやってきた。
「ん?」
「ちょっと麗貸して」
「あぁ、おう」
「なんか、ごめんな。ますます苦痛与える形になって…………」
「あ!全然大丈夫ですよ!私、なんとなく予想はしてたので」
「でも…今日の感じ見てたら、もう1個の作戦も危うい感じが」
「一応、その作戦聞いても良いですか?」
「あぁ。二人の時にさ、Toruが好きそうなものの話をして、その流れで『私のことは?』って聞いてみるっていう……」
「……え?」
「だよな!わりぃ。俺頭わりぃから、こんなんしか思いつかなかった。でも、俺ならつられて言っちゃいそうだから……」
「ありがとうございます。やってみます」
「力になれなくてごめんな」
「たくさんアイデアくれたじゃないですか!私、ここまで来たら絶対言わせてみせますから」
「頼もしいな。頑張れ」