太湖船
□一難去らずにまた一難
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4限、5限と授業が終わり、今日の任務を終えた私は家路へ急ぐ。
授業中、あのタバコの香りと笑顔が頭に焼き付いて離れなかった。
何なんだこれ。
「人生生きづらい筈ね。」
そこまで思い返して
ドッと疲れが襲ってくる。
一体何だって、あんな奴の言葉が、表情が頭の中を占拠するのだろうか。
校門を出る途中で、喫煙所を通りかかる。
学内のスモーカー達が所狭しとそこでタバコを吸っている。
嫌な臭い。
そういえば、彼のタバコの香りはそんなに気にならなかった。
喫煙所からこちらまで漂ってくる
どの煙とも、彼のタバコは違うように思えた。
タバコ。
そこで思い出す。
「そういえばライター‥。」
今朝、私の部屋で見つけた銀色のライター。
あれは彼のものだ。
今日、食堂ではチープなプラスチックのものを使っていたけれど。
あれも、彼の部屋に返しておかなければ。
なんで私がそこまでしなくちゃなんないのよ。
そう思いながら、黙々と足を進めていく。
今日は課題を片付けておかなくちゃ。
それも思い出し、さらに足を早める。