本棚2

□キスマーク
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「エルダー!セリアルに聞いたぞ!このキスマークお前のせいだろ!」

「何を今さら、俺がつけた事はお前がよく知っているだろう?」

エルダーを図書室で見つけたアシュタルが詰め寄るが、エルダーは読んでいる本から顔を上げる事もない。

「話を聞け!そう言う意味じゃなくて!」

「まて、ここでそんな話をするつもりか?」

エルダーに言われて、慌てて口をふさぐ。
エルダーの言う通り、今は誰もいないがいつ誰が来るなんて分からない。
セリアルはともかく、ルミアやアリオテスには聞かせたくない話だ。

「・・・今夜、俺の部屋に来い」

「いいだろう」

ギリギリと歯がみしながら言うアシュタルに、エルダーは無駄に王者の貫禄を見せながら鷹揚に頷いた。




その夜

「っ・・・馬鹿!いきなり押し倒すな!」

部屋にエルダーを招き入れたとたんに、ベットに押し倒されたアシュタルが、抗議の声をあげながらジタバタと暴れる。

「やれやれ、自分から誘っておいて色気のない事だ」

完全に遊ばれていると分かっているアシュタルだが、体勢の悪さと体格差もありエルダーを押し退ける事が出来ない。
それでも、めげずに暴れていると呆れたようなため息をついたエルダーが、アシュタルの上から離れた。
慌てて距離をとり、ひと息つくアシュタル。

「いきなり何しやがる!」

「夜に男を部屋に招く事の意味が分からないお前ではあるまい?」

エルダーの余裕綽々の態度に、キレそうになるのを深呼吸して必死で押さえるアシュタル。
怒ったら負けだ、相手のペースにのせられたら思うツボだ。

「このキスマーク!呪いだとセリアルから聞いた!どういうつもりだ!早く消せ!」

チョーカーを外して、エルダーによく見えるように喉を反らす。

「自分のモノに印をつけて何が悪い」

楽しんでいるのかニヤニヤ笑いながら眺めるエルダー。

「感謝しろ、本来なら身体中につけてやりたい所を一つだけにしてやっているのだからな」

「・・・狂気の沙汰だな、こんな目立つ場所!本当に迷惑なんだ!いいから消せ!」

アシュタルは、自分に向けられる強い独占欲に喜びを感じている事を悟られないように喚き散らす。

「全く、我が儘だな。何処ならお気に召すのかな我が姫は」

珍しく真剣な眼差しのエルダーに見詰められて思わず照れて目を反らすアシュタル。

「誰が姫だ!・・・とにかく見えない所なら別に何処でも・・・」

「仰せのままに」

いつの間にか、はだけていたアシュタルの胸に唇を寄せるエルダー、チクリとした痛みに痕をつけられたのだと分かる。
しまった、消せと言ったのに論点をすり替えられて、結局、エルダーの思うツボだ。

「あっ!やっ止めろ!何処に触って!」

「誘惑したのはお前だ、据え膳喰わねばって奴だな・・・覚悟するんだな」

「馬鹿!」


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