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□雷夜
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ドサッ
ベットから落ちて眼が覚めた。
「痛っ!・・・夢?」
床の上で悶えるアリオテス。
途中で目が覚めて良かったような勿体なかったような。
「アリオテス?眠れないのか?」
アシュタルの声に慌て飛び起きる。
「アシュタル!」
「床の上で何してるんだ?」
「えっと・・これは・・・」
素直に言える訳がない。
「雷が恐いんだろ無理するな」
いいよどむアリオテスを見て誤解したアシュタルが明るく笑う。
「この辺りはカンナブルより雷が多いからな、ルミアも初めは怖がっていた」
ひょいとアリオテスを抱えてベット寝かせ、自分も横になる。
「アシュタル!!」
まるで夢で見たような光景。
「眠れないんだろ?添い寝してやるよ」
夢と違うのはアシュタルには全くその気がないこと。
「子供扱いするな!!」
意識している相手に全く気付かれていない事実に思わず叫ぶ。
「うるさい、大人しく寝ろ」
「!!」
抱き枕よろしく抱き寄せられて思わず固まる。
「おやすみアリオテス」
「オヤスミナサイ」
しばらくすると聞こえてくる健やかな寝息。
アリオテスが雷以外の理由で一睡も出来なかった事をアシュタルは知るよしもない。