本棚2

□欲動
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闇の中、忍び寄る足音が聞こえる。
これが俺のくそみたいな人生を終わらせる死神の足音ならばどれ程良かったか。
そんな事をぼんやりとした頭で考えながら身体を起こそうとした時、力ずくでベットに押えつけられた。
誰何する前に、雲間から漏れた月光に
男の姿が顕になる。
エルダーはアシュタルを見下ろしニヤリと笑った。

「俺が言う筋合いではないだろうが、お前は『タナトス』に近すぎるな」

上からアシュタルの顔を見ながら言うエルダー。

「・・・・夜中に人の部屋に不法侵入してきてまで言いたいことはそれだけか?」

エルダーに組み敷かれながら睨みつけアシュタル。
エルダーの肩を押し、自分の上から退けようとするが、体勢の悪さからかビクともしない。

「どうせなら、『エロス』に傾倒すればお前の周囲の人間達もきっと喜ぶだろうと思ってな」

エルダーが、ニヤリと笑いながら言う。

「・・・タナトスは死、エロスは生への欲動って意味だろ・・・お前が言うとただの情欲にしかっ!あっ!どこ触って!」

服の隙間から忍び込んだ、エルダーの手がいたずらにアシュタルの身体を這い回る。

「構わないだろう、どちらも同じようなものだ」

エルダーが、アシュタルの耳元で囁き、そのまま耳をはむ。

「バカ!っあ!やめっ!」

ビクッと身体を震わせるアシュタル。
もちろん、エルダーが止める訳がない。
抵抗するためにエルダーの肩を押さえていた手が、いつの間にかすがるようにエルダーの服を掴む。
耳からへと舌を這わせながら、服の隙間から忍び込んだ手が胸の突起を爪で弾く。
途端にアシュタルの口から漏れる甘い悲鳴。

「ここがそんなにイイのか?」

そこを摘んだり捏ねたりと執拗に弄ぶ、そのたびに漏れる吐息と声に隠しきれない色香がにじむ。

「そこ・・・ばっかり弄るな」

エルダーを睨みつけるアシュタルだが、快楽に蕩けかけた瞳にエルダーは満足そうに笑うだけだ。
焦らすように、わざとアシュタルのシャツのボタンをゆっくりと外す。
はだけたシャツから覗く胸の突起は、月明かりでもわかるほど薄紅色に染まり固く尖っていた。

「こっちも可愛がってやらないとな」

散々指で弄ったのとは別の突起に、舌を這わせ、吸い付き、歯を立てる。
甘い声を上げて身をよじるアシュタル。
そのすきにアシュタルの服を全て剥ぎ取るとエルダーはアシュタルの秘所に指をゆっくりと埋め込んだ。

「ひゃぁ!・・・やめ!」

武骨な太い指が狭いソコを容赦なく押し広げていく。

「あっ・・・くっ・・・」

アシュタルの悦い所をかすめながらも、望むものは決して与えてくれない意地悪な指に切なげな吐息が漏れる。

「ん?指では物足りないのか?・・・待たせて悪かったな」

いつの間にか3本も入っていた指を抜くと、アシュタルがすがるような瞳でエルダーを見る。
きっと本人は気づいてもいない、無意識の反応だろう。

「そんな顔をするな、すぐに満たしてやる」

ヒクヒクと卑猥に男を誘う媚肉に、昂ったモノを押し付けると殊更ゆっくりと侵入する。

「・・・っ・・・んぁ!・・・ああっ!」

押し殺そうとして失敗した嬌声が漏れる。
生理的な涙が月光を弾いて褐色の頬を零れ落ちる。

「・・・イイ眺めだ」

「ひゃぁ!・・・ひっ!やだぁ・・・おく・・・やめっ!」

頬を零れ落ちる涙をエルダーが、舌で舐めとる。身体を前のめりに倒したため自然に深くなった楔にアシュタルの口からは悲鳴のような声が上がる。

「悪いな、だがまだ全部入っていないぞ?」

音を立てる勢いで、エルダーのモノがアシュタルの中の最後の砦を突き崩す。
途端に喉から迸る声は、先程までの甘さを含んだものではなく、まるで獣のような声。
跳ねた身体、仰け反り顕になった喉に誘われるように口づける。
髪を振り乱し、エルダーの背中に爪をたててすがりつくアシュタルを満足そうに愛でるエルダー。

「・・・っ・・・痛みもまた快楽の一部と言った所か・・・」

理性などとうになくし、強すぎる快楽にただ泣き叫ぶアシュタルの身体を、エルダーは貪欲に貪った。
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