本棚2
□邂逅
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「・・・・10年くらい前に剣を交えた事がある、覇眼なくても腕が立つ奴だったからな覚えている、油断するなよ。」
アシュタルが自分の知っているジェダについて話終わると、ルドヴィカが腑に落ちない顔をしてアシュタルの顔を見あげた。
「今のお前ならともかく、10年前といえば立派な『怪物』時代だっただろ?引くことの出来ない奴隷兵士と、目の前の敵を全て斬り捨てる怪物が剣を交えて何故いまだに二人とも生きている?」
「なんだか、何処かの神話にそんな話があったような気がする・・・だいたい悲劇で終わるよね?何で二人とも無事なの?」
「それもそうニャ、気になるニャ」
ルドヴィカと魔法使い、そして黒猫までもが好奇心でキラキラと瞳を輝かせながらアシュタルを見詰める。
その瞳に自分の失言に気づいたアシュタルだったがもう遅い。
『油断できない相手だから気を付けろ、ぐらいで終わらせておけばよかったぜ。アイツも・・・ジェダも俺の事を忘れてるみたいだったしな・・・』
そんな事を思いながらも、アシュタルの脳裏にはあの日の出来事が鮮やかに甦っていた。