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「どうしてこうなっちまったんかねぇ・・・」

最近、アシュタルがよく口にする言葉だ。
この言葉を聞くとアリオテスは複雑な気分になる。
自分とこんな関係になった事をアシュタルは、後悔しているのではないだろうかと。
もしも、ミツィオラが生きていたら?
父があんな事をしなければ?
アシュタルと自分の関係は一体どうなっていたのだろう?
今頃自分は、父親についてゲー家を継ぐために勉学に励んでいたのだろうか?
ゲー家は、他の覇眼の一族とは関わりを持たないようにしていたから、きっと二人出会う事もなかっただろう。

アシュタルは、ミツィオラ辺りに勧められてラド家に相応しい妻を娶って幸せな家庭を築いていたのだろうか?

そこまで考えて、存在もしない『妻』に嫉妬する。
アシュタルが自分以外のものになるなんて絶対に許せない。
例え、その相手が、最愛の姉だったとしてもだ!

「俺ってこんなにも嫉妬深かったのか・・・知らなかった」

自分でも知らなかった感情が、まるで湧水のように湧いてくる。
その全ての感情の中心にアシュタルがいる。
もしもなんて考えても仕方がない、今が全てだ。

「・・・とりあえずアシュタルはお仕置きだな」

アシュタルが聞いていたら理不尽だと怒るだろう事を呟く。
もしも、未来を自分で選ぶ事が出来たとしたら、俺はアシュタルと進む道を何度でも選ぶだろう。
だから、アシュタルにも俺を選んで欲しい。後悔なんてさせたくないし、させるつもりもない。
これから先のアシュタルの人生の全てを俺のものにしたい。
子供の我が儘だと笑われるかも知れないが、本気だ。
その為の努力は惜しまない。
アシュタルに相応しい大人の男になるために。

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