リクエスト小説
□幼馴染との恋は
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志田side
……私は、変わってしまった。
理佐が、あの子と付き合ってから。
ねる「理佐〜帰ろ〜?」
理佐「あ、うん。愛佳、バイバイ」
愛佳「…………バイバイ」
………私の方が理佐のこと好きなのに。
なんでねるに取られるの……別に、私の理佐って訳じゃないのに、なんか、前より独占欲が強くなった。でも、理佐は、ねるがいるからそんなことしたって、ねるに何か言われるだけだし。どうしようもない。自分が情けない。
愛佳「………………………はぁ………」
このため息だって、誰もいない教室に溶け込んで、消えていく。誰にも聞こえない、私のため息。私にしか聞こえないため息。あぁ、私は報われないのか。
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渡邉side
最近、愛佳の態度が変わった。
私が、ねると付き合い始めてから。
理佐「愛佳、お昼ごはん、一緒に……」
愛佳「……ごめん。私、1人で食べたい。」
理佐「………あ、」
愛佳「ねると食べてくれば?」
理佐「………え、あっ、愛佳……」
愛佳「……………」
愛佳がどこかへ行こうとしたから、腕を掴んで引き止めた。
理佐「愛佳、最近どうしたの?機嫌、いつも悪そうだし。体調悪い?それとも、なんかあった?」
愛佳「………………離して」
理佐「愛佳、ちょっと来て」
愛佳「…………………………
(理佐のせいなのに)ボソッ」
理佐「……………」
……私だって、愛佳が好き。“恋愛感情”、としても。友達として、幼馴染として、愛佳が好き。でも、1番気持ちが強いのは、恋愛感情として。でも、私はそういうのを言うのが苦手。恥ずかしいし、なにより、“幼馴染”って言う関係が崩れて、もう一緒にいられなかったら嫌だから。言葉に出来ない。
理佐「…なにがあったか、教えて?」
愛佳「…………………………」
理佐「愛佳、ちゃんとこっち見て」
愛佳「…………………………」
理佐「………愛佳!!」
愛佳「…………………………」
理佐「…もういい。愛佳なんて知らない。ねると食べてくるね。」
愛佳「…………好きにすればいいのに」
理佐「…………!!」
愛佳「……………………」
……愛佳、私と話す時、目を合わせなくなった。口数も少なくなったし。でも、何も話さないからもう知らない。
でも、愛佳が、一言だけ話した。
“好きにすればいいのに”
…なんで?なんでそんなこと言うの?
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志田side
理佐になんかあったか聞かれたけど、答えなかった。答える気はなかった。
だって、機嫌悪いの理佐のせいとか言ったら、完全に絶交に至るまでのケンカになっちゃう。まぁ、今の時点で結構なケンカになっちゃったけど。
愛佳「…………ウッ…………ヒック……グスッ……」
…やだ。理佐と離れたくない。絶交したくない。理佐といたい。理佐の傍にいたい。
愛佳「………ック……ウゥッ……グスッ、ヒック……」
…泣き止みたいのに涙が止まらない。
ガチャ
…!誰か来る。早く隠れなきゃ……
ねる「…愛佳、いないよ?」
理佐「………そっか」
ねる「…他の場所、探す?」
理佐「………」
ねる「理佐?」
理佐「……これ」
ねる「……あ」
理佐「……愛佳?」
…なんで、すぐに分かるんだろう。
幼馴染ってほんとに凄い。長年一緒にいるから、隠れてるのだって、誰の涙の跡とか、すぐに分かる。私だって、理佐が、どこかで隠れて泣いてたりしてても、分かる。ほんとに、幼馴染を好きって、悪いことかもしれない。理佐には、彼女がいるのに、諦められない私が、ほんとにやだ。
愛佳「…………!」
理佐「……愛佳」
愛佳「……………っ、」
理佐「…ちゃんと、話して?」
愛佳「………やだ、理佐じゃダメなの」
理佐「……………ほんとに?」
愛佳「………………………………」
理佐「………話して?」
愛佳「……………が…すき」
理佐「…………え?」
愛佳「…理佐がすき」
なんで、こんな簡単にさらっと言えたんだろう。不思議と、恥ずかしがらずに。好きな人だから話せないって訳じゃないんだ。好きな人とちゃんと向き合って、告白して、振られて、そこで諦めればいいんだ。
理佐「……………ほんとに?」
愛佳「…………うん………っ、」
理佐「………愛佳、ごめんね、私は……「知ってる」」
…やっぱり、ねるが好きなんだ…
でも、そんなこと知ってる。
愛佳「知ってるから………知ってるけど……言いたかった。ずっと、辛かったから……言いたかった。」
理佐「愛佳………ごめんね……」
愛佳「謝んないで」
ねる「理佐」
理佐「ねる………」
愛佳「……………幸せにね」
ねる「待って、愛佳。」
愛佳「……………」
ねる「理佐、理佐はさ、愛佳の事が好きなんでしょ?」
理佐「…………コクッ」
ねる「それが1番いいよ!」
理佐「………え?」
愛佳「………………」
ねる「ねるだって、そんなにバカじゃないからね?」
理佐「………ねる…」
ねる「申し訳ないって思ってるの?そんなのどうだっていいから、ほら!愛佳に思ってること、全部言いな!」
理佐「…………ねる…ありがとう……」
ねる「これが、恋人としての、最後の仕事だよ?」
理佐「………うん」
…理佐は、ねるが好きなはずなのに…
無理矢理くっつけようとしてくれてるのか、分からない。
ねる「愛佳、これはね、無理矢理じゃないよ。本当の思い同士がくっつこうとしてるの。」
………………………え?………本当の思い同士が……………くっつこうとしてる…………
ねる「ほら、理佐」
理佐「……うん」