ヒ腐マイ

□好きの次は愛してる。
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最近、兄ちゃんに避けられてる気がする。
気にしすぎといえばそうだけど。
俺と二人きりになるのを避けてるように思える。
直接聞ける勇気もなく。
今、兄ちゃんの部屋の前で考えているところだ。
三郎にでも見つかったら馬鹿にされそうだ。
それはそれで腹立つな。
けど、兄ちゃんに聞いて確かめたいし。

(悩んでても仕方ねぇ!)

意を決して、扉をノックしようとすると、部屋の中で、ドサッという音がした。
扉に耳をあてると、兄ちゃんの声が聞こえてくる。
息苦しそうな声に、慌てて中へと入る。

「兄ちゃん! 大丈……ぶ?」
「っ、二郎?あ……」

ベッドから身体を起こした兄ちゃんは、シーツをかき集めて足元を隠した。
ちらっとだけ見えたのは、兄が独りでしていたという証拠だけ。
気まずい空気に、無言で立ち去ろうとするが、兄ちゃんが俺の服を引っ張られ阻止された。

「兄ちゃん……」
「あ、悪ぃ……もう行っていいぞ」

兄ちゃんは掴んでいた俺の服から手を離した。
これで部屋から脱出できるわけだが、この状況で出れるわけがない。
俺は身体の向きを兄ちゃんに向けて、気になっていたことを訊ねた。

「兄ちゃん、俺のこと避けてない?」 「……それは」
「三郎と3人で居るときしか、俺と話さないから。もしかして俺兄ちゃんに――」
「違う! 俺が二郎のこと、弟として見れなくなったから……」

俺は兄ちゃんの言葉に目を丸くした。

「はは、気持ち悪いよな。実の弟に恋愛感情持ってるとか。だから……」

忘れてくれ、そう口にする兄ちゃんの唇を自分ので塞いだ。
色違いの目が見開かれ、こっちを見つめている。
目尻に浮かんでいる、雫を指で拭いながら、兄ちゃんの唇に舌で割って入る。


「んっ、じろ……、ん……」
「兄ちゃん……」

一旦、唇を離すと、銀色の糸が間でプツリと切れた。
勢いでしてしまった行為に気付き、頭を抱える。

「じ、二郎?」
「兄ちゃん! 俺も好きです!」
「え、あ……うん、ありがとな」
「お、俺は! 兄ちゃんと結婚を前提に付き合いたい !」
「はは。結婚は無理だぞ、二郎。でも、無理しなくていいぞ」
「無理してないから! 好きじゃなかったらキスなんてしない! というか、さっきのが俺のファーストキスなんだよ、兄ちゃん!」

これで信じてくれないなら泣いてやる。
そう心の中で決意し、兄ちゃんを見つめる。
兄ちゃんは視線を彷徨わせると、俺の胸元に顔を埋めて頷いた。
見下ろした先に、耳たぶが赤く染まっているのが見える。


「兄ちゃん、キスと、その先のこと……していい?」

コクリと頷いた兄は、うなじまで赤くなっていた。
頬に手を当てると、兄ちゃんは顔を上げて、ゆっくりと目を閉じた。
触れた唇は濡れていて、舌で舐めとりながら、口内に侵入した。
舌で兄ちゃんの口を犯しながら、ベッドに縫い付ける。
シーツを剥ぎ取って、兄ちゃんの足を持ち上げる。

「じろ……まっ、ん……!」
「ごめんよ、兄ちゃん……」

謝罪を口にしながらも、兄ちゃんの後孔を弄る手を止められなかった。
自分で慣らしてたのか、すんなりと指が入っていく。
指をバラバラに動かして、中を広げていくと、兄ちゃんが俺の首に腕を回してしがみついた。


「は、んっ……じろぅ……挿れて、いい……から。頼む……」
「……っ、分かった」

尻たぶを掴んで、後孔にペニスを宛てがう。
兄ちゃんの荒い息を耳元で聞きながら、前に手を這わせる。
快楽で力が緩くなったところで、一気に突き入れる。
ギュッと後孔で締め付けられて、達しそうになるのを耐えつつ、腰を動かし始める。
兄ちゃんに負担がかからないよう、頑張ってはいるけど、正直キツイ……。
自分だけ気持ちよくなりたいわけじゃない。
兄ちゃんも一緒に、感じてもらいたい。
俺は動かすスピードを制御しつつ、一度引いて浅いところを擦るように押し進める。


「二郎、好きに、動いていいぞ」
「兄ちゃんは? 苦しくない?」
「へーき、だから、優しくしなくていい。……二郎が、気持ちいいなら、俺も、いぃ…から……」

あぁ、ホント敵わないな。
俺は内心で苦笑した。
兄ちゃんに言われた通り、自分なりに動かしてみる。
律動が速くなったことで、中からぐちゅぐちゅと音が聞こえる。
それすらも刺激となって、出したい欲がこみ上げてくる。
 

「兄ちゃん、俺、だめかも……!」
「ぅ、あッ! 抜かなくて、いい、から! 中に、出してくれ……っふぁ?! はっ、じろ、ぅ……! や、イクッ、俺、もう!」
「兄ちゃん、っん、兄ちゃん!」

最奥にペニスを突いて、兄ちゃんの中で射精した。
キュッと中が締まる感覚に、眉を寄せる。
二人で荒い息を吐き出し、呼吸を整える。
落ち着いたところで、ふと気になっていたことを思い出した。

「兄ちゃん、なんで部屋の鍵かけてなかったの?」
「い、今聞くのか?」

兄ちゃんは苦笑いして、間をおいてから口を開いた。

「一人でするつもりなかったんだが。二郎の声が聞えて、それで……っん、二郎、また……するのか?」
「に、兄ちゃんが悪いんだからね!」
「はは、責任取らないとな。二郎、愛してもいいか?」
「……兄ちゃん、それ反則。……喜んで」



この人には一生敵わない気がする。
そう思いながら俺は、兄ちゃんに抱き着いた。










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