みかんのカゴ

みかんのカゴは、ネタや短い文章などを入れて置く場所となっております!
(設定は変わるかもしてませんので、IFだと思ってお楽しみください!)

◆花にたとえて、(雨陽) 

ウン百回目の誕生日。
一年のあまりの短さに、陽傘はつい、ため息を漏らした。
「陽傘ちゃん、お誕生日嬉しくない?」
「……天衣、お前はまだ嬉しいのか?」
プレゼントを持って自宅を訪ねてくれた天衣を部屋に通して、二人はケーキと共にお喋りをしていた。洋服姿の天衣はその丸い目をしばたたかせる。
「天衣は一年に一回皆におめでとうってお祝いされるの、嬉しいけどなぁ」
「なんて言うか、この歳になると、ついこの前祝われた気がしてな……」
「でも陽傘ちゃん今回ピッタリでしょ?」
「言うな。母様も父様も張り切ってしまってな……」
ピッタリと言うのは数字の事。今日で陽傘は――00歳になるのだ。

つづく?

2018/05/28(Mon) 13:01 

◆ロシア語のお勉強会。 

「これはヴェーですね……ベーはこれですよ」
「〜〜っ!何でこんなややこしいんだよ!!覚えらんねぇだろ!!!!」
「まだアルファベット覚えてる段階じゃないですか、ほら頑張りましょ?ほらこれは?」
「……ポット?」
「残念!これはロートですね。意味は口です」
「コッノ野郎…ッ!!英語のアルファベットと似てるんじゃねぇよ!!」
「(一体誰に文句つけてるんですかねぇ……)」
「おい、ボーッとしてんじゃねぇよ、コレは、何だよ」
「それはーー」

二人の間で今や、習慣になった勉強会。グラウの地下部屋で今日も二人、向かい合っていた。時刻は夜8時。寝る前のお勉強会だ。

「そんな事も分からんのかこの低級悪魔め!見よ!私は今日もノート3ページ分単語を練習したのだから!」

ドアを勢いよく開け、その空間へ飛び込んできたのはブランだ。彼はことあるごと、グラウに食って掛かってゆく。

「ブランは勉強熱心ですねぇ……よしよし、良い子良い子してあげましょう」
「わっ、わあっ!?あ、ありがとうございます……まさか貴方さまに頭を撫でて頂けるとは……!光栄です……!!」
「……そいつなんかしょっちゅう触ってくんだろが」

グラウが独り言のように呟いたその言葉を、ブランの耳は素通りするわけにはいかない。

「ハ!?……そんなわけ無いだろう!?ちょっ、嘘ですよね?本当じゃないですよねゲルプさま!!??」
「……さて、次はこの単語ですが」
「ちょっと!!!???」
「流されてや〜んの」

ケタケタと笑うグラウに、ブランはゲルプとグラウを交互に見て、アワアワとしている。

ゲルプはそんな二人を眺めながら……こんなにも穏やかな日々が私の元にもやってくるなんて、と柔らかな笑みを浮かべているのだった。

end

[追記] (2018/04/09(Mon) 13:45)

<金髪と黒髪> 2018/04/09(Mon) 13:45 

◆冬のおわり。 

「雪だるまとけちゃったね……」
素嬉は少しだけ寂しそうに目を細め言う。
雪が積もった中、YESと素嬉が作った雪だるまは、里仲家のマンション玄関前に置かれていた。
素嬉が今日学校に行く前までは確かに、そこに居たのに。
「今日は暖かかったデスカラネ……」
こちらも同じ位悲しい顔で呟いた。元気出してクダサイと言って、素嬉の頭を撫でる。
「もう春だもんね」
うつ向いていた顔をあげて、素嬉は笑顔を見せる。悲しさを振り払う様に立ち上がって窓を開けた。
「下校中に沢山タンポポを見たんだ、麻里子ちゃんと、今度花冠作ろうって!」
開け放たれた窓から入る春風が、素嬉の髪を揺らす。YESはその光景から、目が離せなかった。来年も……きっと同じ風を浴びるのだろうと、そんな気がした。

おわり

<Y素> 2018/04/03(Tue) 20:00 

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