Contraindicated garden

□Act1
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今日という日が楽しみで仕方なくて、私は駆け足で横浜駅のホームを駆け抜けた。
貴方に会うのが待ちきれない。
相鉄線の改札口を抜けて、貴方がいつも使うJRの改札口前に向かう。
(どうして都会の駅ってこんなに複雑なのかしら)
つい1ヶ月前まで住んでいた実家が懐かしく感じる。
……もう戻る気なんてないけどね。
目的地に着くと人の多さに圧倒された。
(これじゃあ探すの大変じゃない……)
すみっこに移動してキョロキョロしていると、右手から貴方が近づいてきた。
「デマンド!」
大きく手を振ると、私に気づいてくれて貴方は微笑んでくれた。
案外、見つけられるものね。
「ちょっと、遅すぎるわよ」
「これでも急いで来たんだ。すまないな」
目が合うと少し恥ずかしくなって、いつもの癖で貴方の足を軽く蹴ってしまった。
「っ……おい」
「寝坊、次したら許さないんだから」
「……バレてたか」
「当然よ」
すると貴方はクスクス笑ってから、私に向かって右手を差し出す。
「行こうか、うさぎ」
「うん!」
私は貴方の大きな手を握って歩き出した。
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